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新しい出生前検査 学会が指針案
12月16日 0時22分

新しい出生前検査 学会が指針案
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妊婦の血液を調べ、胎児に染色体の異常があるかどうか判定する、新しい出生前検査について、日本産科婦人科学会は、専門のカウンセリング態勢が整った施設に限って実施するという指針の案をまとめるとともに、施設の認定・登録制度を始める考えを明らかにしました。

新しい出生前検査は、妊婦の血液を調べ、胎児にダウン症などを引き起こす染色体の異常があるかどうか判定するもので、全国の20近い施設が導入を検討していますが、日本産科婦人科学会は、安易な実施は慎むべきだとして、指針の作成を進めてきました。
学会が15日に公表した指針の案では、専門のカウンセリング態勢が整った施設に限って、妊婦が35歳以上か、生まれてくる子どもに染色体異常の可能性がある場合に実施するとしています。
さらに、こうした条件を満たしているか審査する組織を、関連する学会と共に設立し、施設の認定・登録制度を始める考えを明らかにしました。
記者会見した小西郁生理事長は、「新しい検査は、認定・登録された施設で、臨床研究として慎重に始めるべきで、遺伝カウンセリングが必須だ」と話しました。
日本産科婦人科学会では、ホームページで指針案を公開し、一般からの意見を聞いたうえで、来年3月に新しい検査の指針を決めることにしています。

“検査受ける妊婦 さらに悩むことに”

日本産科婦人科学会が示した指針の案について、社会学が専門で出生前検査の動向に詳しい立命館大学の立岩真也教授は、「検査に対する疑問や批判に、いくらか配慮したのだろう」としたうえで、「ダウン症の人たちの多くは苦しくもないし、不幸でもない。障害のある人たちが生きにくい社会だからこそ、出生前検査は障害がある場合の妊娠中絶の可能性を見込んでなされる。学会はこうした考えを認める一方で、カウンセリングでは障害を受け入れることも伝える、としている。医療者側は『中立』でいられるが、検査を受ける妊婦は、さらに悩むことになるのではないか」と指摘しています。
また、実施施設の認定制度については、「学会は、従来の出生前検査でも指針を示してきたが、それに反する医療者には何の対応もできなかった。きちんと機能するか疑問だ」と話しました。

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