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第71期将棋名人戦・A級順位戦は6回戦が終了し、羽生善治三冠が6戦全勝で単独トップに立った。1敗勢がいなくなり、2期連続の挑戦に近づいた。
羽生三冠―高橋道雄九段戦は、通常の横歩取りとは先手と後手を逆にした戦型になった。中盤で優位に立った高橋九段が終盤でチャンスを逃し、羽生三冠が逆転勝ちした。渡辺明竜王―三浦弘行八段戦は相矢倉となり、厳しい攻めを続けた渡辺竜王が勝った。4連勝スタートだった三浦八段は痛い連敗だ。
羽生三冠は第66期と第70期、今期とあわせてA級順位戦21連勝と記録を更新し続けている。7回戦の三浦戦に勝ち、2敗の渡辺竜王と屋敷伸之九段が敗れると、2戦を残して名人挑戦が決まる。
残留争いも注目される。谷川浩司九段と深浦康市九段が2勝4敗、高橋九段と橋本崇載八段が1勝5敗と苦しい星勘定だ。7回戦で谷川―深浦戦、高橋―橋本戦が組まれており、その結果が今後の行方を大きく左右しそうだ。
返り咲きを狙った羽生善治十九世名人を森内俊之十八世名人が破ったシリーズを観戦記で振り返る。決着後の両者へのインタビューも収録。
七冠制覇を成し遂げた羽生が「将棋世界」誌上で連載した矢倉の壮大な研究。当時20代の羽生が将棋の真理に挑んだ渾身作。