1票の格差:衆院選無効求め提訴…弁護士グループ、27件

毎日新聞 2012年12月17日 20時31分(最終更新 12月18日 00時50分)

16日に行われた衆院選について、1票の格差問題で無効を求めて東京高裁に提訴する升永英俊弁護士(前列右から2人目)ら=東京・霞が関で2012年12月17日、木葉健二撮影
16日に行われた衆院選について、1票の格差問題で無効を求めて東京高裁に提訴する升永英俊弁護士(前列右から2人目)ら=東京・霞が関で2012年12月17日、木葉健二撮影

 「1票の格差」を巡り、最高裁が違憲状態とした選挙区割りのまま実施された衆院選は違憲として、「一人一票実現国民会議」を主導する升永英俊弁護士らのグループが17日、選挙無効を求める計27件の訴訟を全国8高裁・6高裁支部に起こした。【石川淳一】

 グループは「再選挙を申し渡すのが司法の役割」と主張。「一刻も早く違憲状態を解消すべきだ」として、公選法の「100日裁判」規定に基づく早期の判決も求めている。

 グループは訴状で「憲法は人口比例の選挙を求めており、国民の意思が等しく国会に反映させられなければ国民主権とは言えない」と強調した。提訴後に記者会見し、「違憲状態の選挙で誕生した議員が正統性なく国家権力を行使していく。レッドカードを出された選手がグラウンドを走り回っているようなもので、こんなでたらめは許されない」と訴えた。今回の衆院選小選挙区では、当日有権者数が最多の千葉4区と最少の高知3区の間で2.425倍の最大格差が生じた。

 国会は解散当日、小選挙区定数を「0増5減」とする法改正を成立させたが区割り作業が間に合わず、最高裁が11年3月の判決で違憲状態と判断した前回09年選挙(最大格差2.30倍)と同じ区割りで実施された。

 1票の格差を巡っては別の弁護士グループも17日、広島高裁に2件の同種訴訟を提訴し、東京高裁でも近く提訴する方針。

 ◇警告放置、国会の姿勢争点

 違憲状態の区割りのまま実施された衆院選は83年以来、現憲法下で2度目だが、83年は最高裁の違憲状態判決の直後に解散された。今回は最高裁の警告を1年半以上放置した国会の姿勢が許されるかが訴訟の焦点となる。

 11年3月の最高裁判決は、小選挙区定数をまず47都道府県に1ずつ割り振る「1人別枠方式」が格差を生んでいるとして速やかな廃止を求めた。先月の法改正では「0増5減」と併せて1人別枠方式の規定も削除したが、同方式を廃止すれば、試算上は「21増21減」が必要とされる。

 1年半以上の放置期間を厳しい目で見れば裁判所は小選挙区導入後で初の違憲判断に傾くだろう。「0増5減は小手先」との批判もある。

 仮に違憲判断をすれば、前例のない選挙無効宣告の検討に入ることになり、選挙無効が確定すれば少なくとも訴訟対象選挙区の議員は議席を失う。

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