性犯罪:「事件を防げ」 悲鳴聞こえたら強制捜索へ

第一線に「緊急時ガイドライン」配布

 今年4月2日未明、京畿道平沢市内のある住宅街。警察はここで20代の女性が拉致されたという通報を受けて警察官約70人を投入、現場の捜索に乗り出したが、容疑者の自宅が含まれる近隣のワンルームマンション94世帯のうち12世帯が聞き込みに応じなかった。警察は2回ドアをノックし、返事のない家はそのままにして立ち去った。その間、被害女性(21)は男(31)に性的暴行を受け、翌日夜に解放された。警察関係者は「家の中を強制的に捜索できる具体的な根拠がなかったため、住人の許可なしに中に入ることはできなかった」と釈明した。

 しかし、今後はこうしたことはなくなる見通しだ。警察庁は犯罪現場の捜索過程で、必要に応じ、住人が拒否しても強制的に中に入れるようにする「緊急時家宅立ち入りなどに関する指針」を第一線に配布したことを16日、明らかにした。

 現行の警察官職務執行法も家宅立ち入りを許可しているが、一定の基準がない上、入ってからの活動に関しては何ら規定がない状態だ。このため、第一線の警察官らが混乱することもあったとして、警察庁として共通ガイドラインを設け、積極的な強制捜索を奨励することにした。

 同指針によると、警察は危険発生場所の範囲が「個々の住宅に特定されている場合」「狭い範囲に限定されている場合」「広範囲と推定される場合」に分けてガイドラインを設けている。

 まず、個々の住宅に特定されている場合は、警察官は身分証明書を提示した上で居住者に関連する内容を説明した後、強制的に捜索できる。ただし、悲鳴が聞こえるなど切迫した状況ならまず強制捜索を行う。場所が「赤い門の集合住宅」と特定されている場合や、今年4月に京畿道水原市で20代の女性が誘拐・殺害された「呉元春(オ・ウォンチュン)事件」のように広範囲と推定されるケースでも、解決に時間がかかるようなら最も疑わしい場所から強制的に立ち入り、捜索できるようにしている。

 警察は強制的に立ち入った後、肉眼で周囲を観察したり、不審物を手で触る程度の捜索ができ、血痕や悲鳴など犯罪の痕跡を発見した場合も、令状なしで家宅捜索などの強制捜索も可能になる。

 警察庁警察刷新企画団の関係者は「この6カ月間、法学教授など専門家の意見をまとめて定めたガイドライン。今後は厳格に適用することにより、プライバシーと人権侵害の問題も最小限に抑えられるだろう」と話している。

アン・ジュンヨン記者
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