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'12/12/18

自民2氏、5県入らず当選


 自民党が大勝した今回の衆院選の比例代表中国ブロック(定数11)で、中国地方に活動の基盤も実績もなく、選挙戦の間も全く5県入りしないという自民党の元国会議員2人が当選した。活動拠点を福島県に置く吉野正芳氏(64)と、宮崎県に構える上杉光弘氏(70)。両氏は「今後も中国地方では活動しない」と明言する。

 吉野氏は、福島県いわき市などがある福島5区を地盤とする比例東北の前職。公認争いで元職に敗れた。上杉氏は宮崎県を地盤にする元参院議員で、自治相などを歴任した。3期務め2004年の参院選と翌年の衆院選宮崎2区で落選した。

 自民党は今回、「自民王国」と呼ばれ、党幹部も多い中国地方の比例代表で、小選挙区の立候補者18人を名簿順位1位に登載。小選挙区で優位な戦いが見込まれる中、その下の順位で単独擁立しても当選の確率があるとみて19位で吉野氏、20位で上杉氏を擁立した。

 両氏は選挙戦中、それぞれ地元で他候補の応援に力を注ぎ、中国地方では選挙運動をしなかった。2人は中国新聞の取材に対し17日、党本部の判断で比例中国に立候補したと説明。ともに「中国地方の有権者の皆さんには感謝している」と述べた。

 同党の河村建夫選対局長は「全国どこで出ても同じ国会議員。個人名を有権者に書いてもらうわけではない」と説明。「党勢拡大につなげる意味を込めた」と狙いを話した。

 2人は今後も福島と宮崎を拠点に活動する構えだ。広島大法学部の森辺成一教授(日本政治史)は「法的な問題はないが、地域の代表を選んだつもりの有権者からすれば心情的に釈然としないだろう」とみる。「衆院の比例代表は参院と違ってブロック単位で位置づけが中途半端」とも指摘した。




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