塾講師「いいか、復習を忘れるなよ! 復習が大事なんだからな!」
第一話「復習」
<個人塾>
塾講師「いいか、復習を忘れるなよ! 復習が大事なんだからな!」
塾講師「俺は一回きりの説明で、お前らに全て覚えさせられるほど」
塾講師「教え方は上手くねえし」
塾講師「お前らも一度聞いただけで忘れないでいられるような」
塾講師「出来のいい頭はしてねえだろうからな!」
弱気「先生……またですか」
そばかす娘「いっつもいっつも、最後にそれいってますよね~」
球児「これだけいわれりゃ、絶対復習するって!」
塾講師「よし! じゃあ夜も遅いから、気をつけて帰るんだぞ!」
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4 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 21:07:31ID:OS5XuWRg0 [2/30回(PC)]
塾講師(本業のかたわら、ほとんど趣味で始めてみた個人塾だったが──)
塾講師(案外面白いもんだな)
塾講師(この塾に入った頃は、どこの大学にも受かりそうもなかったアイツらも)
塾講師(まぁ……それなりの大学なら入れるくらいの頭にはなってくれたしな)
塾講師(さぁ~て、俺も今日やった授業を振り返りながら)
塾講師(次、なにやるか考えるとするか……)
塾講師(復習、復習、っと……)
8 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 21:13:34ID:OS5XuWRg0 [3/30回(PC)]
数日後──
塾講師「よぉ~し、こないだやったとこだが……弱気、これ答えてみろ」
弱気「あ、あの……」
塾講師「……どうした?」
弱気「すみません……分かりません……」
塾講師「ん、お前……さては復習しなかったな?」
弱気「すみません……!」
塾講師「俺に謝っても仕方ないだろ」
塾講師「復習はしっかりしろよ~? じゃ、もう一回教えてやるから、聞いとけよ」
弱気「はい……」
そばかす娘(珍しいわね……)
球児(いつも三人の中で一番マジメに復習してくるやつなのに……)
10 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 21:19:25ID:OS5XuWRg0 [4/30回(PC)]
塾講師(弱気のヤツ、あれ以来ろくに復習してこなくなっちまったな)
塾講師(塾なんて、復習しなきゃほとんど金をドブに捨てるようなもんだってのに)
塾講師(なんか、復習する暇もなくなるほどハマるものができたんだろうか?)
塾講師(アイツならインドアな……例えば漫画とかゲームあたりか?)
塾講師(あるいは彼女? ……いや、まさかな)
塾講師(まぁ……たかが一講師が生徒のプライベートにまで立ち入れねえし)
塾講師(マジメな奴だから、そのうち元に戻るだろう)
しかし、弱気が元に戻ることはなかった。
11 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 21:23:19ID:OS5XuWRg0 [5/30回(PC)]
そして──
弱気「…………」
塾講師「おい授業始まるぞ、テキスト出せよ」
弱気「すみません……」
塾講師「もしかして忘れたのか? しょうがねえな~」
弱気「いえ、なくしました」
塾講師「なくした?」
弱気「す、すみません……!」
16 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 21:28:17ID:OS5XuWRg0 [6/30回(PC)]
塾講師「まぁ、俺もよく物は失くすけどさ」
塾講師「一度免許証を失くした時は、人生の終わりってぐらい焦ったもんよ」
塾講師「けど、あんなちゃちいテキストでも、お前たちのために作ったテキストなんだ」
塾講師「大切に扱ってくれよ? あとで新しいの刷ってやるから」
弱気「すみません……!」
球児「じゃあ、今日は俺のを見せてやるよ」パサッ
弱気「ごめん、ありがとう……」
塾講師「…………」
21 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 21:33:17ID:OS5XuWRg0 [7/30回(PC)]
塾講師「いいか、復習を忘れるなよ! 復習が大事なんだからな!」
塾講師「俺は一回きりの説明で、お前らに全て覚えさせられるほど」
塾講師「教え方は上手くねえし」
塾講師「お前らも一度聞いただけで忘れないでいられるような」
塾講師「出来のいい頭はしてねえだろうからな!」
そばかす娘「は~い」
球児「さいなら~!」
塾講師「じゃあお前は新しいの刷ってやるから、ちょっとここで待ってろ」
弱気「はい……」
24 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 21:39:41ID:OS5XuWRg0 [8/30回(PC)]
塾講師「じゃあ、コピー機を準備して、と」ピラッ
弱気「本当にすみません……」
塾講師「だが、その前に──」
弱気「え?」
塾講師「お前のカバン、ちょっと開けてみせろ」
塾講師「テキスト一式失くしたわりには、妙に中身が詰まってるのが気になる」
弱気「えっ……でも……」
塾講師「いいから、開けろ」
弱気「は、はい……!」
30 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 21:45:18ID:OS5XuWRg0 [9/30回(PC)]
弱気のカバンの中には、ボロボロに破られた教科書やノートが入っていた。
むろん、塾講師お手製のテキストも──
塾講師「…………」
弱気「すみません、せっかく作って下さったのに……!」
塾講師「悪かったな」
弱気「え!?」
塾講師「こんなになるまで、気づいてやれなくて……」
塾講師「そりゃ、復習なんかできる精神状態じゃないわな」
弱気「…………!」グスッ
塾講師「俺が力になれることなんてないかもしれないけど」
塾講師「話すと楽になるってのは、まちがいなくある」
塾講師「今、この部屋は二人きりだ」
塾講師「全部ぶちまけてみろ」
弱気「は、はい……」
34 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 21:51:21ID:OS5XuWRg0 [10/30回(PC)]
弱気「ボク、こんな性格で、勉強やスポーツもできなくて……」
弱気「学校でも最初のうちは……イジメというより、イジられていたんです」
弱気「だけど……この塾に入って成績が上がってから」
弱気「一部の人の態度が変わったんです」
塾講師(完全に下に見て、バカにしながらも可愛がってた奴が)
塾講師(実力をつけたとたん、うとましくなる……よくある話だな)
弱気「無視されたり、机に落書きされたり、持ち物を隠されたり……」
弱気「そして今日……」
弱気「バカのくせに塾通いなんかナマイキだ! って、教科書や塾のテキストを……」グスッ
塾講師「そうだったのか……」
塾講師「……ま、とにかく新しいテキストだ」バサッ
塾講師「今日は復習はいいから、とりあえずゆっくり寝るようにな」
弱気「はい。先生に聞いてもらったら、少し楽になりました……」
弱気「ありがとうございます……!」
39 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 21:58:14ID:OS5XuWRg0 [11/30回(PC)]
弱気が出て行った後、電話をかける塾講師。
塾講師「…………」ピッピッ
電話『はい!?』
塾講師「よう、俺だ」
電話『旦那!』
塾講師「悪いな、こんな時間に」
電話『なにをおっしゃる! 旦那なら、24時間いつでもオッケーっすよ!』
塾講師「さっそくだが、お前の腕を見込んで、調べて欲しいことがあるんだ」
電話『旦那にはいっつも助けてもらってますからねぇ~、なんでもやりますよ!』
塾講師「実は──……」
44 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 22:02:05ID:OS5XuWRg0 [12/30回(PC)]
翌日の夜──
ピリリリリリ……!
電話『旦那!』
塾講師「おう、さすがに早いな」
電話『俺ぁ、マフィアのアジトにだって忍び込める男っすよ!?』
電話『高校に忍び込むくらい、ラクショーっすよ~!』
電話『もっとも俺の潜入技術なんざ、本気を出した時の旦那にゃかないませんがね』
電話『旦那が本気出せばホワイトハウスにだって──』
塾講師「できるわけねえだろ」
塾講師「……で、どうだった?」
51 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 22:25:56ID:OS5XuWRg0 [13/30回(PC)]
電話『旦那のおっしゃったとおり、イジメはありますね』
電話『一人、主犯格がいて、そいつに先導されてみんな……ってパターンっすね』
塾講師「だったら……そいつをどうにかすりゃ、なんとかなりそうだな」
電話『主犯のデータや、イジメの証拠写真はあとで送っておきます』
塾講師「ありがとよ」
塾講師「金はいつものところに振り込んでおくよ」
電話『いや、いいっすよ! こんな息をするより簡単な仕事で──』
塾講師「金払った方が俺の気が済むんだ。人助けと思って受け取っておいてくれ」
電話『は、はい』
塾講師(イジメは事実だった……)
塾講師(となれば──)
塾講師(復讐だ)
塾講師(復讐は大事だからな)
59 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 22:39:53ID:OS5XuWRg0 [14/30回(PC)]
イジメの主犯格は、学年でも成績上位の優等生だった。
インテリ(あ~今日も、アイツをイジメてスカッとしたよ)
インテリ(まさか中間テストであんなヤツに、世界史で負けちゃうなんてね)
インテリ(イジられるしか能がない間抜けの分際でナマイキな……)
インテリ(ま、他の教科はまだまだボクが上だけどさ)
インテリ(教師もアイツはイジられキャラっていう認識だから)
インテリ(ボクが罰せられる要素はないし)
インテリ(明日からもアイツでストレス解消して、受験勉強頑張ろうっと)ガチャッ…
帰宅し、自分の部屋に入るインテリ。
インテリ「!?」
インテリ「な、なんだこれは!?」
63 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 22:53:19ID:OS5XuWRg0 [15/30回(PC)]
インテリの部屋の本が、全てボロボロに破られていた。
インテリ(なんだ!?)
インテリ(空き巣!? いや、だったらママが気づくはずだ!)
インテリ(ボクの参考書や漫画、小説が全部破られ──)
インテリ(いや全部じゃない! 無事なのがある!)サッ
手がつけられていない漫画雑誌を手に取るインテリ。
インテリ(これは友だちから借りてるヤツだ……)
インテリ(他にも“ボクのじゃない本”だけは無事だ!)
インテリ「だ、だれがこんなことを……」ガタガタ…
ピリリリリ……
インテリ(電話!?)ビクッ
インテリ(非通知……! まさか……!)ゴクッ
70 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 23:03:08ID:OS5XuWRg0 [16/30回(PC)]
インテリ「だ、だれだ!?」
電話『やあ、どうもどうも』
電話『お部屋を少し片付けましたが、気に入っていただけましたか?』
インテリ「お前がやったのか!」
電話『あ、天井裏のエロ本もちゃ~んとやっときましたんで、ご心配なく』
電話『巨乳好きなんですねぇ、あなた』
インテリ「ふっ、ふざけるな!」
インテリ「なぜだ!? なぜ、こんなことをする!?」
電話『復讐ですよ』
インテリ「復讐だと!? ボクは復讐されるようなことはしちゃいないぞ!」
電話『これはおかしなことをおっしゃる』
電話『あなたのおかげで復習できなかった人がいる』
電話『これだけで復讐する理由には十分すぎる』
80 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 23:09:23ID:OS5XuWRg0 [17/30回(PC)]
インテリ「な、なにを──」
インテリ(まさかアイツが!? いやあの間抜けに、こんなマネできるはずが……)
インテリ(さっきまで一緒に学校にいたわけだし……)
電話『おやおや、なにかお心当たりがあるようですねえ』
インテリ「!」ギクッ
電話『私の要求はささやかなものです』
電話『心当たりがあるのなら、すぐにやめなさい。また周囲にもやめさせなさい』
電話『私は本日、あなたの母親にも気づかれず、あなたの部屋に忍び込み』
電話『あなたの本だけを器用に選んで、全て破かせていただきました』
電話『賢いあなたなら、これがどういうことかお分かりでしょう?』
インテリ「!」
インテリ(コイツはボクを調べ尽くしている……)
インテリ(しかも……ボクをいつだってどうにでもできるってことだ……!)
86 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 23:12:43ID:OS5XuWRg0 [18/30回(PC)]
インテリ「わ、分かったよ……やめるよ!」
インテリ「だから……許して下さいっ!」
電話『……分かりました。ただし──』
電話『もし約束を破れば、次は本を破るぐらいじゃ済まさねえ』
電話『次こそは死んだ方がマシなぐらいな目に合わせてみせる』
電話『どんな手を使っても、お前がどこに逃げても、どれだけ偉くなろうとも、な』
インテリ「は、はい……っ!」
電話『では引き続き、快適なスクールライフをお楽しみください』
電話『さようなら』プッ…
ツー…… ツー……
インテリ「うぅ……っ!」ガクッ
93 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 23:16:13ID:OS5XuWRg0 [19/30回(PC)]
塾講師「──ま、こんだけ脅しとけば大丈夫だろ」
塾講師「これでアイツもちゃんと復習するようになればいいんだが……」
塾講師「あと、今日はもう一仕事こなさなきゃな」
塾講師(ひき逃げして、子供に重傷負わせときながらも)
塾講師(親父の権力で不起訴になったっていうバカ息子……)
塾講師(ヤツの調査でコイツが真犯人なのは確定したし)
塾講師(せめて同じ目に合わせてやらなきゃな)
塾講師(復讐は大事だからな……)
99 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 23:18:24ID:OS5XuWRg0 [20/30回(PC)]
数日後──
<個人塾>
塾講師「お、今日はバッチリ復習してきたな!」
弱気「はい、バッチリです!」
塾講師(この様子じゃ、どうやらイジメは解決したみたいだな)
塾講師「しつこいようだが、復習を忘れるなよ! 復習が大事なんだからな!」
弱気「はいっ!」
そばかす娘「は~い」
球児「うっす」
~ 第一話 おわり ~
122 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 23:29:15ID:OS5XuWRg0 [21/30回(PC)]
第二話「失恋」
<個人塾>
球児「へぇ~彼氏できたのかぁ!」
弱気「おめでとう……」
そばかす娘「ありがと!」
そばかす娘「私なんか不釣り合いなくらい、かっこよくて……夢みたい!」
ガチャッ
塾講師「私語タイム終了~」
塾講師「恋愛もいいが、勉強も忘れんなよ」
塾講師「さ、授業を始めるぞ」
そばかす娘「はぁ~い」
123 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 23:30:16ID:OS5XuWRg0 [22/30回(PC)]
授業が終わり、いつものフレーズを口にする塾講師。
塾講師「いいか、復習を忘れるなよ! 復習が大事なんだからな!」
塾講師「俺は一回きりの説明で、お前らに全て覚えさせられるほど」
塾講師「教え方は上手くねえし」
塾講師「お前らも一度聞いただけで忘れないでいられるような」
塾講師「出来のいい頭はしてねえだろうからな!」
弱気「もちろんですよ」
そばかす娘「はいはぁ~い!」
球児「うっす!」
塾講師「じゃあ、気をつけて帰れよ!」
塾講師「…………」
塾講師(アイツ、彼氏できたのかぁ……)
131 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 23:35:12ID:OS5XuWRg0 [23/30回(PC)]
しかし、一週間後──
塾講師「……あれ? アイツはどうした?」
弱気「今日は来てないですね」
球児「俺も見てないぜ」
塾講師「休みだったら、必ず連絡してくるんだけどな」
球児「彼氏できたっていってたし、デートじゃねえの?」
塾講師「……まあ、連絡なしなのは感心しないが、もう時間だ」
塾講師「授業を始めるぞ」
弱気「はい」
球児「うっす!」
135 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 23:38:55ID:OS5XuWRg0 [24/30回(PC)]
弱気「さようなら、先生」
球児「んじゃ、また来週!」
塾講師「しつこいけど、復習忘れんなよ!」
バタン……
塾講師(遅刻して来るかな、と思ったけど結局来なかったな)
塾講師(まあ、今日の分は別に時間取って軽くレクチャーしてやるとするか)
塾講師「…………」グゥゥ…
塾講師「腹減ったな……コンビニにカップ麺でも買いに行くか」
144 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 23:49:40ID:OS5XuWRg0 [25/30回(PC)]
塾講師「ふん、ふ~ん」
塾講師(さぁ~て、帰ったら湯をかけて食うとするか)
塾講師「ん……?」
グスッ…… シクシク……
塾講師「公園の中から声……?」
すると──
塾講師「お、お前……!」
そばかす娘「あ、先生……!」グスッ
そばかす娘「ご、ごめ、なさい……塾……サボっちゃって……」グスッ
塾講師「んなことはいいが、どうしたんだ?」
塾講師「こんな夜中に未成年が一人、こんなとこいたら、補導されるのがオチだ」
塾講師「とりあえず、塾に来い」
そばかす娘「うん……」グシュッ
145 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 23:50:30ID:OS5XuWRg0 [26/30回(PC)]
<個人塾>
カップ麺を差し出す塾講師。
塾講師「泣いたら腹が減るからな、食えよ」
そばかす娘「え……でも、これ先生のじゃないの?」
塾講師「そうめんと間違えて買っちまったんだ」
塾講師「捨てようと思ってたとこだ」
そばかす娘(間違えるわけないじゃん……)
そばかす娘「ありがとう、先生……」ズルズル…
146 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 23:52:39ID:OS5XuWRg0 [27/30回(PC)]
塾講師「──で、なにがあったんだ?」
塾講師「着飾ってるが、もしかして例の彼氏と……」
そばかす娘「うん……実は今日デートで──」
~ 回想 ~
イケメン「今日は楽しかったね」
そばかす娘「うん、ありがとう!」
イケメン「さてと、最後にとっておきの場所を紹介したいと思うんだ」
そばかす娘「え、どこどこ?」
イケメン「ここさ」ニィッ
ギィィ……
イケメンが扉を開くと──
152 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 23:54:45ID:OS5XuWRg0 [28/30回(PC)]
大きな看板が待ち受けていた。
『調子こいちゃったね、ドブスちゃん!!!』
そばかす娘「え……っ」
ギャハハハハハハッ! ワッハッハッハッハッハッ!
「え……っ、だってよ!」 「すげぇおもしれぇわ~!」 「サイコー!」
DQN「いい写真が撮れたぜ~! ギャハハハハハッ!」
ビッチ「アンタみたいなそばかす女、イケメン君が相手するわけないっしょ~!」
茶髪「…………」
イケメン「いやぁ、期待通りのいいリアクションだったよ~!」
そばかす娘「え、あの」
イケメン「じゃ、これから俺、彼らとパーティーだからさ。もう帰っていいよ」
そばかす娘「あ……」
イケメン「君みたいなブスが、俺と付き合えると思ったわけ?」
イケメン「いい夢見れただろ? じゃ、さよなら~!」
バタンッ!
160 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 23:57:36ID:OS5XuWRg0 [29/30回(PC)]
塾講師「…………」
そばかす娘「うぅっ……ぐっ……うっ!」グシュッ
そばかす娘「おかしいとは、思ってたんです……」
そばかす娘「あの人が……私みたいなブス、相手にするなんて……」グスッ
そばかす娘「でも……もしかしたら、って……」グスッ
そばかす娘「ハハ……私みたいな女に、彼氏なんて一生できるわけないですよね」
塾講師「そんなことねえって」
そばかす娘「気休めいわないで下さい!」
そばかす娘「私みたいなそばかすまみれの女、どんな男の人だって──」
塾講師「なぁ……」
塾講師「俺と付き合ってくれないか?」
そばかす娘「え……」
166 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/17 23:59:19ID:OS5XuWRg0 [30/30回(PC)]
そばかす娘「冗談で励まそうったって──」
塾講師「冗談なわけがあるか」
塾講師「俺はお前がこの塾に入った瞬間から、お前に惚れ込んでいた」
塾講師「いや……欲情さえしていた」
そばかす娘「よ、欲情って……そんな素振りなかったじゃないですか」
塾講師「当たり前だ、俺ももういい大人だ」
塾講師「セクハラ塾講師逮捕! なんて記事になるのはゴメンだしな」
塾講師「だが、こんなチャンスを逃すほど大人でもない」
そばかす娘「だったら先生は……私のどこがいいっていうんです!?」
塾講師「オドオドしつつも透き通った瞳、まっすぐな鼻、吸いつきたくなる唇」
塾講師「お前が気にしてるそばかすも、白い肌と合わさって実にいい味出してる」
塾講師「こなれてないお洒落や、ほのかに匂う香水も高ポイント」
塾講師「今時珍しい、守ってやりたくなる性格してるしな」
塾講師「そして見たことはないが、おそらく体も俺好みだって分かる」
そばかす娘「せ、先生……ちょっと……!」
193 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 00:17:58ID:NxdF3qKK0 [1/26回(PC)]
塾講師「お前は高校生、俺はこないだ30になった……多少年が離れちゃいるが」
塾講師「芸能人とか、もっと年の離れたカップルなんていくらでもいるしな」
塾講師「これでも俺は生活力はあるし、絶対お前を幸せにしてみせる!」
塾講師「どうだ、俺と付き合ってくれないか!?」
そばかす娘「…………」プッ
そばかす娘「ふふっ、ふふふっ……ふふっ」
そばかす娘「ありがとう、先生……」ポロッ
そばかす娘「大丈夫。私、先生のおかげでなんとか立ち直れそう」
そばかす娘「今のでビックリして、さっきのイヤな記憶が上書きされちゃったもん」
塾講師「そ、そうか……」
そばかす娘「次からは、塾サボらず来るから、またいつもどおりよろしくね」スクッ
塾講師「おお、任せておけって! 復習を忘れんなよ!」
そして──
塾講師「よう、ちょっと頼まれてくれねえか」
電話『旦那の頼みとあらば!』
196 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 00:20:43ID:NxdF3qKK0 [2/26回(PC)]
<繁華街>
DQN「いやぁ~こないだのそばかすブスは最高だったな!」
ビッチ「キャハハハ、次はだれターゲットにするぅ?」
イケメン「今度は散々貢がせて捨てるってのも面白いかもね」
DQN「──にしても、あの野郎、俺たちのグループから抜けるなんてな」
DQN「ま、めいっぱいボコってやったがよ」
イケメン「いいさ、いいさ。しょせんアイツは俺らについてこれなかっただけのことさ」
すると──
サングラス「こんばんは」
イケメン「ん?」
ビッチ「なにぃ?」
DQN「だれだぁ、オッサン」
サングラス「真ん中の君、たしかに女にモテそうなツラしてるな」
サングラス「調査させた写真より、生で見ると余計そう感じるよ」
イケメン「……おじさん、俺になにか用かい?」
199 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 00:23:41ID:NxdF3qKK0 [3/26回(PC)]
DQN「オッサン、俺のダチにちょっかい出すってんならボコっちまうぞ?」ザッ
イケメン「相変わらず喧嘩早いな、君は……。ま、その方が手っ取り早いけど」
ビッチ「キャ~、やっちゃってぇ~!」パチパチ…
DQN「俺はボクシングやってんだぜ、オラァッ!」
ブオンッ! ブンッ! ビュッ!
DQN(あ、当たらねえ……!)
サングラス「なにがボクシングだ……脇の締め方、腰の切り方、全然なってねえ」
サングラス「勉強と同じく、格闘技も復習が大事なんだ」
サングラス「もっと復習してから出直してこい」ヒュッ
ボゴォッ!
サングラスの左ストレート一発で、DQNはあっさり沈没した。
ビッチ「ひぃぃ……!」ガタガタ…
イケメン「ウ、ウソだ……彼は喧嘩で負けたことがないのに……」
サングラス「さてと、お前はこれぐらいじゃ済ませられねえな」
204 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 00:27:00ID:NxdF3qKK0 [4/26回(PC)]
ガシィッ!
サングラスの左手が、イケメンの顔面をわしづかみにする。
サングラス「見れば見るほど、いいツラしてんなぁ」グッ…
イケメン「い、いだだっ!」ミシッ…
サングラス「この恵まれたツラと腐った中身で、ずいぶん女を泣かしてきたんだろ……」
サングラス「たかだか福笑いで恵まれたぐらいで、調子に乗りやがって……」ググッ…
メキメキ……
イケメン「いだだだだだっ!」ミシミシ…
サングラス「不細工をハンサムにするのは金と手間がかかるが、逆は簡単なんだ」
サングラス「この場でお前を日本一の不細工に変形させてやろうか」
イケメン「あがががががっ!」メキメキ…
208 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 00:30:26ID:NxdF3qKK0 [5/26回(PC)]
サングラス「鼻折り曲げて、頬削ぎ取って、歯ぁ全部叩き割って……」
サングラス「髪も全部毛根からむしり取って、耳もジャマだから切り取っちまうか」
イケメン「~~~~~っ!」ジョボボ…
サングラス「まあ、今日はバリカンぐらいで勘弁してやるけどな」ビィィィン…
サングラス「だがもし、今後また女をオモチャにするようなことがあったら──」
サングラス「さっきの整形手術を現実のものにしてやる」
サングラス「絶対やる、必ずやる、何が起きてもやる」
サングラス「分かったな」
イケメン「は、はひ……」
ビィィィ……ン! バリバリバリ……!
212 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 00:34:10ID:NxdF3qKK0 [6/26回(PC)]
同時刻──
そばかす娘(先生の言葉……どう考えてもお世辞だったんだろうけど、嬉しかったな)
そばかす娘(おかげで失恋のショックからも立ち直れたし……)
そばかす娘(とりあえず、勉強頑張ろうっと!)
茶髪「あ、あの……」
そばかす娘「!?」
そばかす娘「あ、あなた……あの時パーティー会場にいた……」
そばかす娘「で、でも、なんでそんなにボロボロなの!?」
茶髪「じ、実は俺……君に謝りたくて……」
茶髪「お、俺……あいつらのグループにいると……」
茶髪「自分も人気者になれた気分で……安心してたんだけど……」
茶髪「やっぱり、あんなひどいこと……もうしたくなくて……さっき抜けてきた」
茶髪「……で、調子いいかもしれないけど……あの時、俺君に一目ぼれしたんだ」
茶髪「付き合って……くれないかな……?」
そばかす娘「!」
214 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 00:37:36ID:NxdF3qKK0 [7/26回(PC)]
数日後──
<個人塾>
球児「へぇ~失恋して、またすぐ彼氏ができたって? 忙しいヤツだな~」
弱気「おめでとう……でいいのかな?」
そばかす娘「ありがと!」
ガチャッ
塾講師「さぁ~て、授業始めんぞ!」
塾講師「お前はこないだ休んだんだから、特に集中して授業聞けよ!」
そばかす娘「はぁ~い」
216 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 00:40:48ID:NxdF3qKK0 [8/26回(PC)]
塾講師「でも、お前また彼氏ができたのか!」
塾講師「よかったな!」
そばかす娘「うん……今度の人は大丈夫! ありがとう、先生……!」
塾講師「よし、じゃあ今日はテキストの108ページからだったな!」
塾講師「…………」
塾講師(そうか、彼氏できちゃったか……)
弱気「ん?」
弱気「今、だれか舌打ちしなかった?」
球児「俺はしてないぜ」
そばかす娘「私もしてないわよ?」
~ 第二話 おわり ~
219 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 00:45:22ID:NxdF3qKK0 [9/26回(PC)]
第三話「復讐」
<球児の高校>
この日、野球部では、紅白戦が行われていた。
坊主「うおおおおっ!」ダダダッ
球児「させるかっ!」バシッ
ランナーは坊主、キャッチャーは球児。
この時、事故は起こってしまう。
ドガァッ!
球児「ぐああああ……っ!」
222 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 00:48:20ID:NxdF3qKK0 [10/26回(PC)]
ザワザワ…… ドヨドヨ……
坊主「だ、大丈夫か……!?」
球児「ぐぅぅっ……!」
部員A「ひでぇな、こりゃ」
部員B「折れてるぜ」
部員C「変な当たり方したからな……」
坊主「ご、ごめんよ……! 俺のせいで……!」
球児(俺の右腕……)
球児(ちくしょう、ちくしょう……!)
224 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 00:51:19ID:NxdF3qKK0 [11/26回(PC)]
<個人塾>
弱気「うわっ……!?」
そばかす娘「ちょっと、その腕どうしたの!?」
球児「いやぁ~部活で怪我しちゃってさ」
球児「ま、名誉の負傷ってやつさ」
弱気「すごいなぁ、ボクは骨折したら塾なんか来れないよ」
そばかす娘「やっぱりスポーツやってると、根性がちがうのねぇ」
球児「ハハハ、まぁな~」
ガチャッ
塾講師「よ~し、授業始めるぞ~!」
226 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 00:55:18ID:NxdF3qKK0 [12/26回(PC)]
塾講師「いいか、ここは色んな赤本で出てくるから要注意だぞ~!」
球児(くっ……)プルプル…
球児(右腕はろくに動かない……)
球児(かといって左手じゃ、まともな字は書けない……)
弱気「ね、ねぇ……」
弱気「あとでボクのノートコピーするから、無理に手を動かさない方がいいんじゃ……」
球児「!」ビクッ
球児「大丈夫だって! これぐらいへっちゃらだよ!」
弱気(球児君はすごいなぁ……)
弱気(ボクにもこれぐらいの精神力があれば、イジメなんか跳ね返せたのかも)
そばかす娘(私も彼みたいに強ければ、だまされても平気でいられたかも)
塾講師「…………」
228 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 00:58:20ID:NxdF3qKK0 [13/26回(PC)]
塾講師「いいか、復習を忘れるなよ! 復習が大事なんだからな!」
塾講師「俺は一回きりの説明で、お前らに全て覚えさせられるほど」
塾講師「教え方は上手くねえし」
塾講師「お前らも一度聞いただけで忘れないでいられるような」
塾講師「出来のいい頭はしてねえだろうからな!」
弱気「分かってますよ……」
そばかす娘「先生、いつもこれだけは必ずいうもんねぇ~」
そばかす娘「たまに前の授業でどこまでやったか忘れてますけど」
塾講師「うっ、うるさい!」
ハッハッハ……!
球児「くっ……」
球児(ろくに字は書けねえし、包帯がうっとうしい……)
球児(こんな腕で復習なんかできるかよ……)
230 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 01:03:33ID:NxdF3qKK0 [14/26回(PC)]
そして──
<球児の高校>
監督「キャッチャーは交代だね」
監督「あの怪我じゃ、大会まで練習は無理だろうからね」
キャプテン「そうですね……残念ですが」
部員A「…………」
部員A「ま、まぁ……ウチの野球部は頑張ってもせいぜい三回戦までだし」
部員A「よかったんじゃねえの?」
部員B「だ、だよな~、気にすんなって!」
部員C「塾通いもしてるんだし、そっちに専念できるじゃん! う、うん!」
球児「そうだな……」
坊主「ホントごめんよ……」シュン…
球児「いいって……」
233 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 01:06:30ID:NxdF3qKK0 [15/26回(PC)]
球児(ウチの野球部は弱いから、レギュラー落ちしても気にすんな、だぁ?)
球児(塾通いに専念できる、だぁ?)
球児(俺は野球が好きだし……勉強も頑張りたかったんだよ!)
球児(だから、練習も休まず、塾にだって休まず通った……)
球児(なのに、右腕がこれじゃ、もうどっちもダメだ……!)
球児(くそっ、くそっ、くそっ、くそっ、くそっ、くそっ、くそっ、くそっ!)
球児(ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう!)
球児(これというのも──)
球児(これというのも、全部アイツのせいだ!)
236 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 01:09:42ID:NxdF3qKK0 [16/26回(PC)]
<個人塾>
塾講師「今日はここまで! 復習を忘れんなよ!」
弱気「はい!」スクッ
そばかす娘「さようなら~」スクッ
しかし、球児は一人だけ席を立たない。
球児「…………」
塾講師「……ん?」
塾講師「どうした、授業は終わったぞ」
球児「先生……」
球児「俺、今日で塾辞めるよ!」
塾講師「!」
239 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 01:13:47ID:NxdF3qKK0 [17/26回(PC)]
塾講師「……まぁ」
塾講師「辞めるってんなら、俺に引き止める術はない」
塾講師「だけど、どうしてだ?」
塾講師「一年前から通い始めて、ずいぶん成績を上げたじゃんか」
塾講師「しかも、部活と両立してな」
塾講師「なかなかできることじゃないと思うぞ、俺は」
球児「俺……もうダメなんだよ!」
球児「右腕折ってから……野球部じゃレギュラーから外されるし」
球児「学校や塾じゃノートも満足に取れないし……」
塾講師「だから辞める、か?」
球児「…………」
塾講師「……どうやらそれだけじゃなさそうだな?」
球児「!」ギクッ
球児「──そ、そうだよ!」
241 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 01:18:43ID:NxdF3qKK0 [18/26回(PC)]
球児「俺はイラついちまって、しょうがないんだ!」
球児「右腕が折れたことに対してじゃない!」
球児「俺に怪我をさせた坊主は、もう俺に何度も謝った!」
球児「なのに、俺はアイツが憎くてしょうがないんだよ!」
球児「アイツはわざと右腕を狙ったとか……ずっと考えちまってるんだ!」
球児「なのに、塾では他の二人に平気なフリしてさ……」
球児「こんなドクズなんだよ、俺は!」
球児「だからもう、野球も塾もやめてやるんだ!」
球児「──そうだ、いっそのこと、とことんクズになってやろうか!」
球児「この手でアイツに復しゅ──」
パシッ!
球児の口を手で押さえる塾講師。
球児「…………!」モゴモゴ…
塾講師「バカなこと、口にするもんじゃない」
244 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 01:22:28ID:NxdF3qKK0 [19/26回(PC)]
塾講師「いいか……」
塾講師「復讐なんて、やらないに越したこたぁない」
塾講師「あんなもんは最後の最後にとっておけ」
塾講師「もし、本当にやらなきゃならない時が来たとしても──」
塾講師「どうしても許せなくなっちまったとしても──」
塾講師「世の中、そういうのを生業にしてるバカヤロウがいる」
塾講師「そういうヤツらに、任せりゃあいい」
塾講師「そして……お前はまだそんな段階じゃない」
塾講師「お前だって自分で分かってるんだろ?」
球児「先生……」
球児「じゃあ俺、どうすりゃいいんだよ……!」
248 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 01:27:12ID:NxdF3qKK0 [20/26回(PC)]
塾講師「分からん」
球児「ちぇっ……なんだよ」
塾講師「だから、せめて俺もお前に付き合おう」
球児「付き合うって? どう付き合うってんだよ!」
球児「まさか、俺みたいに右腕を折ってくれるっていうのかよ!」
塾講師「おお、よく分かったな。やっぱお前、頭よくなってるよ」
球児「え」
塾講師「ふんっ!」
ブオンッ! ベキィッ!
壁に右腕を叩きつける塾講師。
球児「!?」
塾講師「どうだ? お揃いだな」プラーン
253 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 01:31:47ID:NxdF3qKK0 [21/26回(PC)]
球児「な、なにやってんだよぉっ!」
塾講師「なにって……右腕を折ったんだよ。けっこう痛いな、ちょっと後悔してる」
球児「これじゃ、もう授業なんかできないだろ!」
塾講師「オイオイ、俺をあまりナメるなよ」
塾講師「右腕が使えなくても、左腕も口もある。お前らの授業くらいラクショーだぜ」
塾講師「さてと、お前はどうだ?」
塾講師「たかが右腕が折れたぐらいで、腐っちまうか?」
球児「…………」ゴクッ…
球児「お、俺……やるよっ!」
球児「左腕だけで部活も……勉強も!」
塾講師「お~よかったぁ」
塾講師「ここで奮起してくんなきゃ、本物の骨折り損だからな」
塾講師「ハハハハハッ!」
260 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 01:34:56ID:NxdF3qKK0 [22/26回(PC)]
球児「でも、なんでだよ……?」
球児「なんで俺なんかに、ここまでしてくれるんだよ……!?」
塾講師「決まってんだろ」
塾講師「お前が塾辞めたら、俺の収入減っちゃうじゃん」
球児「…………」プッ
球児「ハハハハハッ!」
塾講師「ハハハハハッ!」
球児(他の塾よりずっと安い月謝でやってるくせによ……)
261 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 01:38:32ID:U6RudtI70 [1/2回(PC)]
G
262 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 01:39:13ID:NxdF3qKK0 [23/26回(PC)]
球児(でも……先生っていったいなにで生活してるんだ? 塾だけじゃ無理だよな)
球児(昼間はちゃんとした塾で働いてんのか?)
球児(意外に普通のサラリーマンとか? それともパチプロとかだったり?)
塾講師『復讐なんて、やらないに越したこたぁない』
塾講師『世の中、そういうのを生業にしてるバカヤロウがいる』
球児(──っていってたけど、もしかして先生って……)
球児(いや、まさかな……)
263 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 01:43:35ID:NxdF3qKK0 [24/26回(PC)]
<球児の高校>
球児「よっしゃーっ!」
球児「いいぞ、いいぞーっ!」
部員A「あいつ、レギュラー落ちしたってのに声出しすげえな」
部員B「……アイツのためにも、俺らも頑張らないとな」
部員C「そうだな」
坊主「……ホントごめん」
球児「気にすんな、右腕が折れたって部活はできるからな!」
球児(ありがとう、やってけそうだよ……先生)
266 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 01:48:55ID:NxdF3qKK0 [25/26回(PC)]
<個人塾>
黒板に字を書く塾講師。
そばかす娘「あれ、先生まで腕折っちゃったの!?」
塾講師「ああ、こないだちょっとコケちまってな」カリカリ…
弱気「えぇ~……次はボクかなぁ、イヤだなぁ」ドキドキ…
そばかす娘「でもさすが先生ね、左手でもいつもと字が同じだもん!」
弱気「いや、むしろいつもよりキレイかも」
塾講師「なんたって、猛特訓したからな!」カリカリ…
球児(すげぇなぁ……右腕が治るまでは、俺も先生みたいに左手で頑張るぞ!)
塾講師「…………」カリカリ…
塾講師(悪いな……実は俺、左利きなんだ……)カリカリ…
~ 第三話 おわり ~
267 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/12/18 01:49:31ID:NxdF3qKK0 [26/26回(PC)]
復習ならぬ復讐講師
おわり
1000 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 : 2099/12/2(木) 01:17:55.48 ID:wQp+XCId0 【画像】アスカとレイの髪型を交換した結果wwwwwwwwwwwww 【男子限定】「死んでも嫁にしたくないキャラ」ランキング 3位「伊波まひる」2位「涼宮ハルヒ」1位に選ばれたのは・・・! 『絶対に許さない』 地震でデマツイートをした高校生が日本中から総攻撃を受け炎上 【閲覧注意】ちょwwwwwww日本始まったなwwwwwwwwwwwww ワンパンマンとかいう漫画読んだはwwwwww 【NARUTO】サスケって強さで言うと、歴代暁でどれぐらいの地位なの? 違法ダウンロードしまくった結果wwwwwwwwwwwwwwww 【驚愕】 ATMで前の客が捨てたレシートを見た結果wwwwwwwwww (画像あり) 【ワンピース】海軍の若かりし頃を描いた一枚絵が凄すぎる!!ロビンちゃんもいやらしい!! 【悲報】 有名国産ネトゲが突然のサービス終了発表でスレ大荒れwwwwwwwwww
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