日銀:共同文書修正へ…物価目標、自民公約「2%」対応
毎日新聞 2012年12月18日 02時31分(最終更新 12月18日 07時34分)
日銀は、デフレ脱却に向けて政府と10月にとりまとめた共同文書の見直しに着手する見通しになった。衆院選で圧勝した自民党は政権公約で、日銀が消費者物価上昇率2%を「目標」とすることを明記。民主党政権との間で策定した共同文書は修正する考えだった。日銀は、政府との共同文書で独立性に影響が生じかねないと懸念しながらも、自民党の公約に対応して、2%を目指す姿勢を明確にすべきかを検討する。
安倍晋三総裁は17日の記者会見で、総選挙で公約した2%の物価目標を日銀との政策協定(アコード)で取り決めることについて、「内閣の発足と同時に関係閣僚に指示したい」と述べた。
現在の共同文書は今年10月に白川方明総裁、城島光力財務相、前原誠司経済財政担当相の連名で作成。「消費者物価上昇率が2%以下のプラス領域」を物価安定の「目途」としたうえで、「当面は1%を目指す」と明記した。日銀は「中長期的には2%で、当面は1%」(白川総裁)と説明しているが、市場が物価目標として認識しているのは1%。安倍総裁は「『目途』ではなく『目標』」「1%ではなく2%」への変更を主張してきた。
日銀内では「金融政策には全力を尽くしているが、不十分だとの見方があるのならコミットメント(市場との約束)のあり方を見直す必要がある」との声が浮上。物価上昇率は現在0%近辺にあるため、1%を中間目標的な位置づけとする案や「目途」という表現を「目標」に変更する案などが浮上している。
文書で日銀は、政府に対し成長力強化や財政再建に向けた対応策を明記するよう求めていく考えで、財政、金融政策の足並みのそろった文書を目指す。【三沢耕平、清水憲司】