社説:衆院選 自民圧勝 謙虚に政治の安定を

毎日新聞 2012年12月17日 03時25分

 デフレ、円高対策の強調は景況感が冷え込み、地方を中心に経済が疲弊する中で有効だったはずだ。第1党に議席が集中しやすい小選挙区制特有の事情も大きく影響したとはいえ、勝利を選挙制度ゆえの産物と単純に決めつけるべきではあるまい。

 ただ、審判はもちろん白紙委任などではない。公共事業によるバラマキに依存する「古い自民」の復活などもってのほかだ。3年前に政権を転げ落ちた原点を忘れてはならない。

 ◇「自公プラス民」重視を

 とりわけ、安倍氏ら自民党が自衛隊を「国防軍」に改称する9条改憲や、尖閣諸島への公務員常駐の検討など保守色の強い路線に傾斜していることは気がかりだ。海外にも日本に偏狭なナショナリズムが広がることを警戒する声がある。冷静に外交を立て直さねば孤立化の道すら歩みかねない。

 自公連立が復活しても民主党が参院で第1党の「ねじれ」は変わらず、来夏の参院選で解消する保証もない。衆院で3分の2以上の多数を確保すれば法案の再議決が可能となるが、数を頼みとする手法を用いるべきでない。政策ごとの部分連合を探るべきだ。

 税と社会保障の一体改革に関する自公民3党合意の堅持は選挙結果からも当然である。税制改革をぶれずに実行し、社会保障制度改革国民会議による議論を深め、年金、医療、低所得者対策などの道筋を描くことが政権党の責任だ。

 民主党政権が進めた脱原発依存路線も態度をあいまいにしたままの逆行は許されない。与野党で合意形成に努めつつ、使用済み核燃料の処理問題や電力の供給確保の方策を構築しなければならない。

 公明党は9条改憲に加え、集団的自衛権の行使容認にも慎重だ。日本維新の会なども含め衆院で改憲派がかなりの勢力になるからといって拙速に改憲を急ぐようでは連立がきしみかねない。政策の優先順位を誤らず「自公プラス民」を軸に政権運営にあたるべきだ。

 年内に新首相が誕生すれば06年以来、7年連続の首相交代という異常事態となる。ひんぱんなトップ交代は内政のみならず、国際的発言力の点からも好ましくないことは言うまでもない。

 過去2回の衆院選の極端な圧勝を経た政権の上滑りがその後、参院選の揺り戻しと「ねじれ」につながった教訓に学ぶべきだ。新衆院議員の任期4年をまっとうし得るくらいの着実な改革を新政権に望みたい。成否のカギはひとえに「安倍首相」のかじ取りである。

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