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【Nature】日本海側の津波解明 佐渡島が鍵

2012/12/17 13:57更新

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【Nature】大野亀周辺の海岸で確認された、大小無数の石が詰まった津波堆積物=9月、新潟県・佐渡島(共同) 

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新潟県佐渡市の巨岩・大野亀

記事本文

 小型の鎌で、崖の地層を少しずつ削っていく。「ほら、平べったい石がたくさん詰まっているでしょう。海の石です。見えますか?」。平川一臣北海道大名誉教授(自然地理学)に促され、手元をのぞく。日本海の荒波が打ち寄せる新潟県・佐渡島の海岸。崖の中腹に、大小無数の石が顔を出していた。「これが、大津波が来た証拠です」

 東日本大震災後、過去の津波を知る手掛かりとして注目される津波堆積物。しかし、日本海側は砂丘が発達して堆積物が残りにくく、太平洋側に比べて調査は進んでいなかった。佐渡島で何が分かるのだろう。9月末、記者も調査に同行した。

 ■堆積物から推定

 新潟港からジェットフォイルで約1時間。佐渡島の表玄関・両津港は、北東に向かって大きく口を開けた形をしている。このため、1833年に庄内(山形県)沖で発生した地震(推定マグニチュード7.8)による津波が直撃。両津では橋や、停泊していた七百石の大型船が内陸の湖へ押し流されたという。

 「当時、金銀山のある佐渡島は幕府の直轄地。奉行所の記録によると、島北端の大野亀周辺でも多くの家が流されたそうです」。迎えに来た元高校教諭、小菅徹也さん(75)が教えてくれた。

 目指すのは、観光名所でもある巨岩・大野亀。「文献が少ない日本海側の津波を解明する鍵は、島。本州より震源域に近いため津波が高く、堆積物も厚い。開発が進んでいない分、残っている確率も高い」と平川さん。

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記事本文の続き 大野亀から、海岸をひたすら歩く。津波堆積物を探すには平野や湖沼でのボーリング調査などさまざまな手法があるが、「海岸の崖」にこだわるのが“平川”だ。

 「堆積物の位置を見れば、津波の高さは一目瞭然。浸水範囲を調べるにはボーリング調査が必要だが、時間がかかる。東日本大震災が起きた今、過去に津波が来たことだけでも迅速に確認し、人々に伝えたい」。隣で小菅さんがうなずいた。

 ■6000年間に6回

 ざくり、ざくり。台風17号の影響で風が強くなった海岸に、土を削る音が響く。石の層が現れた。「海の石が平べったいのは、波と一緒に浜辺を行き来して擦れるから」と平川さん。貝やケイソウなど海の生物の化石、陸の砂に比べ石英を多く含む海砂なども、津波堆積物かどうかを判定する目印になる。

 確認できた堆積物は6層。最も高いのは標高約7メートルで、海岸沿いに200メートル以上続いていた。「津波自体は堆積物の位置より数メートル高く、10メートルはあっただろう。火山灰との位置関係から、過去5000~6000年間に6回、津波が来た」と推測する。

 ■未来を思う熱意

 今、10メートルの津波が来たらどうなるか。両津湾を一望するビルの屋上へ行ってみた。大きな湖が砂州で日本海と隔てられ、砂州上には市街地が広がる。車や人の姿も多い。

 「あれが、庄内沖地震の時に七百石船がされた湖です。あの時、津波は砂州を越えた。砂州の標高は約2~3メートル。ひとたまりもありません」。小菅さんの表情が曇る。

 小菅さんは、震災で仙台市の長女(41)一家が被災。5歳の孫ら全員が無事だったが、今度は故郷の佐渡島が心配になった。古老を訪ねて伝承を聞き、古文書を読破。新聞で見た平川さんに調査依頼の手紙を書いた。

 「元教諭らしく、津波にゆかりのある地名や言い伝え、文献を丁寧に調べてあった。何より、子供の未来を思う熱意に打たれた」と平川さん。

 別れ際、小菅さんは「今は大半の住人が、津波が来るとは思っていない。その意識を変えなければ」と言った。災害から地域を守るのは、そこに住む人々自身。ふと、1854年の安政南海地震で大津波が和歌山県を襲った際、稲わらに火を付け村人を高台に誘導した浜口梧陵の実話「稲むらの火」を思い出した。

 (SANKEI EXPRESS

       ◇

 ■津波堆積物 津波によって内陸に運ばれた海の砂や石、生物の化石が堆積したもの。分布状況や年代から、過去の津波の浸水範囲を推定できる。仙台平野や石巻平野での調査結果から、貞観地震(869年)の津波の遡上(そじょう)高が、東日本大震災とほぼ同規模だったことが分かっている。また18世紀以前の文献がほとんどない北海道東部の太平洋沿岸では、過去6500年に十数回、約300~500年おきに大津波に襲われたことが津波堆積物から判明。最新の発生は17世紀初頭で、津波の高さは約20メートルと推測されている。

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