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巨大自民が再稼働 安倍総裁「危機突破する」

大幅に議席を伸ばし笑顔を見せる自民党の安倍総裁=16日午後10時57分、東京・永田町の党本部で

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 十六日の衆院選で、有権者は再度、自民にこの国のかじ取りを託した。主要政策が信任されたとは言い切れない奇妙な勝利。二大政党の一翼だった民主が惨敗し、第三極を唱えた新勢力も伸び悩んだ結果、残ったのは“一大政党”だった。新首相と目されるのは改憲を掲げる安倍晋三総裁。歴史的大勝の陰で、有権者からは「九条を変えるなんて」「原発が推進される」と不安が漏れる。

 自民党の安倍晋三総裁は政権奪還が確実となった午後十時前、東京・永田町の党本部に現れ、候補者名が並んだ白板に次々と赤いバラを付けていった。

 黒地のスーツに紺とピンクのネクタイ姿。終始淡々とした表情だったが、二人三脚で選挙戦を戦った石破茂幹事長と握手し、無数のフラッシュを浴びると口元を緩ませた。

 テレビ各局の中継で外交や経済の質問が続くと、歯切れよく回答。三年余の民主党政権を「停滞と混乱をもたらした」「間違った政治主導だった」と切り捨て、「危機的状況を突破しなければならない」と繰り返した。

 持論の憲法改定に話題が及ぶと、「国民的議論をしながら一歩一歩進んでいきたい」と着実に取り組む意欲を強調。同じく改憲に前向きな日本維新の会を念頭に「大きな方向へ一緒に協力していきたい」と秋波を送るのも忘れなかった。

 首相時代は体調不良などを理由に一年で政権を投げ出し、批判を浴びた。再登板後も内外に課題が山積するだけに、「結果を出していくことで国民の支持をつなぎとめたい」と自身に言い聞かせるように語った。