北陸の経済ニュース 【12月5日02時57分更新】

北陸のIT企業、危機対応に狙い サイバー攻撃や漏えいで
 サイバー攻撃や情報漏えいが社会問題化する中、北陸の情報通信機器関連企業でセキュ リティー対策を強化した商品を投入する動きが相次いでいる。PFU(かほく市)はサイ バー攻撃に対応できるように検疫ソフトウエアの機能を強化し、4日から販売を始めた。 企業の「自衛」を促す狙いで、危機管理が商機となっている。

 PFUの検疫ソフトは、サイバー攻撃で悪用されるアプリケーションを検査する商品。 検査対象のアプリに「Adobe Reader」や「Adobe Flash Pla yer」「Java」を追加した。

 特定の企業や組織をターゲットにする標的型サイバー攻撃が増加しているため、機能を 強化した。パソコンや

スマートデバイスなどの検疫に対応し、幅広い端末のセキュリティー対策を支援する。

 今後3年間でパソコンやタブレット端末など30万台への導入を目指す。PFUは「お 客さまの安心、安全なネットワーク環境を実現したい」としている。

 データの持ち出しや漏えいに関する事件が多発していることを受け、アイ・オー・デー タ機器(金沢市)でヒット商品となっているのは、法人向けでセキュリティー対策を施し たUSBメモリーだ。

 パスワードロックやウイルス対策、コピー制御の機能を採用し、簡単にデータを解読で きない仕組みという。情報管理者が使うセキュリティーソフトウエアも引き合いが多い。

 インテック(富山市)はウェブサイトを持つ事業者に対し、サイト構築やアプリ改修時 に脆弱(ぜいじゃく)性を診断するサービスなどを手掛けている。

 診断サービスは検査ツールだけでなく専門技術者が手動で検査する。通販やウェブ上で 商取引を行う事業者からの引き合いが目立っている。

 海外進出企業に照準を合わせ、セキュリティーシステムを売り込む動きも出てきた。

 東洋通信工業(高岡市)は海外進出企業向けの監視・防犯システムを販売し、日中間の 冷え込みが続く中、中国進出企業のセキュリティー強化需要の開拓を進める方針だ。

 システム「いざまる」は、監視カメラとウェブ会議装置を組み合わせ、日本から現地の 様子を確認できる。高画質、高音質のウェブ会議で現地との情報共有も可能という。

 メーカーの製品情報をめぐっては、工作機械大手ヤマザキマザック(愛知県)の中国籍 の元社員が企業秘密を不正目的で入手したとされる事件も起きた。円高などで製造業の海 外シフトが強まっており、リスク対応商品は一段と関心が高まりそうだ。


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