街の書店、絶滅の危機

趙芝薫、李文烈の故郷でも…
本紙と韓国出版研究所、全国249市・郡・区で全数調査

 大人たちは現実を受け入れていた。「近くに図書館があるし、必要な本はインターネット書店の方が安い」という。美容院の店主は「月刊誌を定期購読していれば本屋がなくても大丈夫」と話した。しかし、チャン・ヒスクさん(40)は「子どもが小学校高学年になると、問題集を買いに安東市まで行く母親が多い」と語った。英陽郡からは車で60-70分の距離だ。

 ソウル市内にあった大型書店・鍾路書籍は10年前に閉店した。釜山では代表的な書店のうち栄光図書と文友堂書店を除き、翰林書院・トンボ書籍・光復書店・チョンハ書林などがなくなった。出版評論家のピョ・ジョンフン氏は「1997年から値引きを武器に登場したインターネット書店が書籍流通のかなり大きな部分を占めるようになったのに伴い、本と読者の接点の『絶対数』が減ったのは深刻な事態だ」と見ている。文化がどこに向かっているのか、ほかの人々がどのような考えを持っているのかを具体的に感じることのできる空間が失われるのだ。チェ・ヘシル慶煕大学教授は「本の香りやページの擦れる音、知識を全身で感じさせてくれる場所を失おうとしている」と指摘した。

 ペク・ウォングン韓国出版研究所責任研究員は「文化生態系の重要な土壌である町の書店がなくなり、読書環境は荒廃している。図書定価制のほかにも、地域に根差した書店の自助努力が必要だ」と強調した。児童書専門の京畿道高陽市一山・アルモ本屋、青少年図書専門の釜山市・インディゴ書院、朗読会や文化イベントを開催している大田市・鶏竜文庫などは問題集や参考書を売らず、割引もしていないが、経営が成り立っている。

 パク・テチュン韓国書店組合連合会会長は「書店がつぶれると、たいていは携帯電話ショップ・コーヒーショップ・ネットカフェなどができる。書店の目に見えない役割を考えると、どちらがすさんでいるといえるだろう」と問い掛けた。脚本家キム・ミョンファ氏は「書店の死」について「韓国人が精神的な余裕を失いつつあるのに、切実さを感じていないという証拠だ」と表現した。

英陽= 朴敦圭(パク・トンギュ)記者
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