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自民圧勝 9条と「脱原発」が心配だ 12月17日(月)

 自民党が圧勝した。単独で半数を超え、連立を組む方向の公明党と合わせると、衆院の3分の2を制した。新たに首相に就任する安倍晋三総裁は、強力な政権基盤を得た。

 自民党は憲法9条を改正し、自衛隊を「国防軍」とする公約を掲げて総選挙に臨んだ。エネルギー政策では「脱原発」に慎重な姿勢を示している。

 戦後の平和を支えてきた憲法9条の理念が揺らぎ、「脱原発」の流れが後退する恐れがある。来年夏の参院選に向け、国民の政治参加が一段と求められる。

   <自公が得た強力カード>

 自民、公明両党合わせ、3分の2は強力なカードだ。自公は参院では過半数に満たないが、仮に参院で法案が否決されても衆院で再可決できる。今回の民意がもたらした最も重要な点である。

 勝因は民主党の失点によるところが大きい。鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦氏の3首相の相次ぐ「公約違反」が批判され、壊滅的な打撃を被った。再建への道のりは険しいと言わざるを得ない。

 投票率が前回より大幅に落ち込んだ。積極的に自民党を選んだというよりも、民主党への失望から老舗の自民党に政治の安定を求めた結果だろう。

 選挙の争点は、景気、社会保障、原発、外交・安全保障と多岐にわたった。安倍総裁は自民党の公約が全面的に支持されたと受け止めるべきではない。国民の声に謙虚に耳を傾ける必要がある。

   <集団的自衛権が浮上か>

 注目は日本維新の会の躍進である。急ごしらえにもかかわらず、民主党に次ぐ第3党に躍り出た。タカ派色の濃い石原慎太郎氏が代表を務める維新が、国会論議を左右する勢力となった意味は重い。これから先、安倍自民党との関係をどうしていくか、目が離せない状況だ。

 選挙結果がもたらす当面の政策課題を押さえておきたい。

 一つは、戦争の放棄や戦力不保持をうたった憲法9条である。自民党は、憲法改正によって自衛隊を「国防軍」に改称するのに加え、集団的自衛権の行使を盛り込んだ「国家安全保障基本法」の制定を公約に掲げている。

 集団的自衛権は「同盟国」の米軍が攻撃された場合、自衛隊が米軍と一緒になって反撃できる権利である。政府は従来、9条によって集団的自衛権の行使は禁じられているとの立場を取ってきた。戦後日本が旗印とし、国際社会にも認められてきた「平和国家」が大きく揺らぐことになりかねない。

 問題は、9条の改正や集団的自衛権行使の容認が極めて現実的な局面に入ったことである。

 公明党は「国防軍」への改称など自民党の公約を批判してきた経緯がある。憲法観に溝を残したまま連立を組むのだろうか。反対の姿勢を鮮明にしてもらいたい。

 公明党が反対した場合でも、自民党と維新の会が手を組む選択肢がある。予断を許さない情勢となった。集団的自衛権行使は「憲法違反」の疑いが濃く、数の力で押し切るには問題がある。

 大敗とはいえ、民主党の役割は大きい。「中道」の立場を明確にし、憲法改正や集団的自衛権行使の動きに歯止めをかける役割を期待したい。憲法を軸に自民党の対抗政党を目指すことが、民主党再生につながる道であろう。

 課題の二つ目は、原発政策だ。自民党は「10年以内に持続可能な『電源構成のベストミックス』を確立する」との公約を掲げている。安倍総裁の発言なども考慮すれば、原発維持を視野に入れているとみていい。

   <多様な民意の反映を>

 自民党政権の復活で、3・11の教訓を踏まえた「脱原発」の世論の流れが、押し戻される心配が出てきた。福島第1原発事故の教訓をないがしろにするような結果を招いてはならない。国民の声を伝える努力を、各方面で広げていく必要がある。

 小選挙区比例代表並立制が1996年に導入されてから、今回で6度目の総選挙である。前回、民主党が政権交代を果たし、自民・民主両党が競い合う構図ができたと思ったのもつかの間、一方の民主党の基盤が大きく崩れた。

 民主党が再び自民党と張り合える政党に生まれ変わることができるのか、維新の会が政権の座をうかがう政党にとって代わるのか、これから先も自民党の優勢が続くのか。「二大政党制」のかたちが混沌(こんとん)としてきた。

 小選挙区は候補者のうち一人しか選ばれない。落ちた候補への投票は「死に票」となるため、多様な民意の反映には向いていない。拮抗(きっこう)する政党が育たなければ、政権交代も遠のく。

 「1票の格差」是正を放置したままの総選挙となった。国会には引き続き格差是正に努めるとともに、現行の選挙制度の問題点を検証してもらいたい。

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