北朝鮮貨物船・覚せい剤密輸:元組長ら2被告、逆転無罪−−東京高裁判決
毎日新聞 2012年12月15日 東京朝刊
北朝鮮から覚醒剤計約230キロを密輸したなどとして、覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)などに問われた元指定暴力団極東会系組長、宮田克彦(65)と韓国籍の無職、禹時允(うときみつ)(65)の両被告の控訴審判決で、東京高裁(八木正一裁判長)は14日、共に求刑通り無期懲役とした1審・東京地裁判決(08年5月)を破棄し、両被告に無罪を言い渡した。
最大の争点は、共謀したとされる暴力団幹部(1審無期懲役、08年3月に病死)が「宮田被告が資金提供役、禹被告が北朝鮮側との連絡役だった」などと述べた供述の信用性だった。
1審は「虚偽供述の動機はない」などと認め、両被告に罰金各1000万円と計約9億6175万円の追徴金も命じた。
しかし高裁は「接見や勾留執行停止などについて便宜を受けるため、捜査側の意に沿うよう供述をした可能性がある」と信用性を否定した。【和田武士】