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【社会】

PC遠隔操作 自白強要認めず 誤認逮捕、警察が検証

 四人が誤認逮捕されたパソコンの遠隔操作による犯罪予告事件で、警察庁などは十四日、捜査の検証結果を公表した。「IPアドレス(ネット上の識別番号)を過大に評価し、裏付け捜査が徹底されず、供述の吟味も不足した」とする一方で、「自白の誘導や強要はなかった」と結論づけた。しかし神奈川県警は、自白の強要があったとする少年=誤認逮捕時(19)=の言い分と食い違ったまま、検証を打ち切っていたことが判明。疑問が解けないままの結論となった。

 検証結果を公表したのは、警察庁と警視庁、神奈川、大阪、三重の各府県警。

 神奈川県警の検証では、少年は誤認逮捕発覚後の再聴取に「否認したら『院』(少年院)に入ることになるぞ」「無罪を証明してみろ」などと取調官に自白を迫られたと証言した。

 しかし、県警が取調官に確認したところ、自白の強要を否定したため、強要や誘導はなかったと判断。無実の証明を求めた言動のみを「不適正な取り調べにつながるおそれがある」として取調官を規律違反で厳重注意するとともに「少年の特性の『迎合』の可能性を十分に検討したとは言えない」と指摘した。

 また少年は、横浜地検の検事からも「否認すると(勾留が)長くなる」と言われたと証言していたが、地検は「配慮が欠けた面もあったが、不適正な行為はなかった」とした。

 また、東京都内の幼稚園や子役タレントに脅迫メールを送ったとして福岡市の男性(28)を誤認逮捕した警視庁も、自白の強要や誘導はなく、供述の吟味不足などがミスにつながったと総括した。

 検証結果を受け、警察庁は全国の警察に、サイバー犯罪に対する捜査員の知識向上や虚偽自白の可能性への留意など再発防止策の徹底を通達。最高検も同日付で、サイバー犯罪に特化した部署を東京、大阪両地検刑事部に新設した。

 <パソコンの遠隔操作による誤認逮捕の経緯> インターネットの掲示板に殺害予告を書き込んだなどとして、警視庁など4都府県警が7〜9月に男性4人を逮捕。しかし10月に「真犯人」を名乗る人物から「警察・検察をはめてやりたかった」とする犯行声明メールが都内の弁護士らに届き、4人がウイルスにより、遠隔操作されるなどしたことが発覚。警察は誤認逮捕を認め、謝罪した。神奈川県警に逮捕された少年は保護観察処分取り消し、ほかの3人も不起訴や起訴取り消しとなった。警察庁は今月12日、遠隔操作事件を公的懸賞金の対象に指定、真犯人特定につながる情報提供者に最大300万円を贈る。

 

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