ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ基礎編 - デシベルの変換

              (作成:2004年04月)      地デジTopへ戻る
              (更新:2005年09月)

開放端電圧と負荷端(終端)電圧

  電圧を電力で表すには、まず、終端抵抗の考え方が必要になります。電圧と
  は、高周波電流を流すための電位の差です。乾電池に何も繋がないと電流も
  流れなければ、電池が消耗することも無いのと同様に、高周波であっても、
  下左図のように何も繋がない(開放状態)では、電流が流れないので、電力も
  生じません
  ところが、右図のように終端抵抗を接続すると、電圧が終端抵抗にかかり、
  電流が流れ、電力が生じます。

       ┌────○      ┌────○────┐
       │    ↑      │    ↑    │
   信号源↑◎    │     ↑◎    │    ■終
       │出   開放端電圧  │出 負荷端電圧  ■端
       ■力   │      ■力   │    ■抵
       ■抵   │      ■抵   │    │抗
       ■抗   ↓      ■抗   ↓    │
       └────○      └────○────┘

                  ※終端抵抗とはダミー抵抗のことです。

  また、高周波信号には信号源と終端のインピーダンス(抵抗値)が異なると
  電流が流れないという特徴があります。右図において、信号源側の出力抵抗
  と、終端抵抗の値が異なると、高周波信号は終端抵抗の手前で、反射が起こり、
  信号源に逆戻りしてしまい、全ての電力を終端抵抗に伝えることが出来ない
  のです。
  ここで、開放端電圧と負荷端電圧には違いが生じます。簡単のため、信号源
  が100V、出力抵抗と終端抵抗が50Ωとします。開放端電圧は電流が流れない
  ため、100Vの電圧がかかっていますが、負荷終端電圧は、出力抵抗と終端抵
  抗の合計100Ωに接続され1Aの電流が50Ωの終端抵抗に流れるので、50Vの電
  圧に減ってしまいます。つまり、負荷端電圧は開放端電圧の半分になります。
  
         負荷端(終端)電圧[V] = 開放端電圧[V]/2

        負荷端(終端)電圧[dBuV] = 開放端電圧[dBuV]−6

  ここでは、終端抵抗と書きましたが、これは、受信機の回路でも同様です。
  終端抵抗を受信機の回路に置き換えると、終端抵抗に生じていた電力と同じ
  電力が受信機に入力されることになります。
  また、通常、受信機は75Ωの入力インピーダンスになっています。

  開放端電圧を使用するか負荷端電圧を使用するかは、システムによって異な
  ります。地上デジタルのような放送機器では、負荷端電圧を使用するようで
  す。

dBμV→dBm

  電圧から電力への変換を行います。電圧には、開放端電圧と負荷端電圧が
  ありますので、それぞれ、変換式が異なることになります。
  負荷端電圧1uVが75Ωの終端抵抗にかかっている場合は、電圧の二乗を終端
  抵抗で除算すればよいので、次のようになります。

    負荷端電圧 0dBuV(LOAD) → 10*log((1e-6)^2/75*1000) dBm(75Ω)
                = -108.75 dBm(75Ω)

  次に、開放端電圧について、考えます。上式から負荷端電圧0dBuV(LOAD)とは、
  信号源から約-109dBmの電力が出力され、その約-109dBmの電力を終端抵抗で
  消費していることを表しています。この状態から終端抵抗を取り外すと、信
  号源の出力電圧は、前々式より2倍の6dBuVになります。
  したがって、開放端電圧0dBuV(EMF)は-109dBmよりも6dB低い、約-115dBmで
  あることが分かります。
  以下に、開放端電圧の正確な値を記します。開放端電圧1uVに負荷を繋いだ
  ときの負荷端電圧は、前々式より、半分の0.5uVですから、負荷が消費する
  電力は以下のとおりになります。

    開放端電圧 0dBuV(EMF) → 10*log((1e-6/2)^2/75*1000) dBm(75Ω)
                = -114.77 dBm(75Ω)

  ここで、仮に0dBmの電力が入力された場合、負荷端電圧は約109dBuVとなり、
  開放端電圧は約115dBuVとなり、開放端電圧の方が6dB高いことが確認で
  きます。

  また、測定器などはインピーダンスが50Ωの場合が多いので、50Ωについて
  も、計算しておきます。

    負荷端電圧 0dBuV(LOAD) → 10*log((1e-6)^2/50*1000) dBm(50Ω)
                = -106.99 dBm(50Ω)

    開放端電圧 0dBuV(EMF) → 10*log((1e-6/2)^2/50*1000) dBm(50Ω)
                = -113.01 dBm(50Ω)

  なお、電力は電圧の2乗の関係があるため、電圧のdBは電力のdBのdBで2倍
  の違いがあります。例えば、電力で2倍は3dBだが、電圧の2倍は6dB
  になることに注意が必要です。

関連ページ

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  基礎編 - 電界強度の変換 アンテナ実効長 dBμV/m→dBm
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