真紀子文科相、落選　民主壊滅！史上最多・閣僚８人負けた…衆院選

新潟５区で敗北し、支援者に謝罪する田中文科相

　第４６回衆院選は１６日に投票、即日開票され、自民、公明両党は合わせて３２０議席（過半数２４１）を超える勢いで圧勝し、約３年３か月ぶりに政権奪還を果たした。民主党は選挙前の２３０議席から６０以下となることが確実に。与党の現職閣僚が８人小選挙区で敗北するなど、歴史的惨敗となった。新潟５区では田中真紀子文部科学相（６８）が、自民党の長島忠美氏（６１）に敗れ、比例でも復活を果たせず、故・田中角栄元首相から続く「田中王国」は崩壊した。野田佳彦首相（５５）はこの日、民主党代表を辞任することを表明した。

　開票からわずか１分後、対立候補の長島氏の当確が民放テレビで報じられると、真紀子氏陣営約１２０人が集まったＪＲ長岡駅前の会場からは落胆の声が広がった。長岡地域連合協議会の堀平八郎幹事長は「接戦にはなると思ったがまさか…」と絶句した。

　真紀子氏本人は、小選挙区敗退が判明した約１時間１５分後に現れた。「私の努力不足。民主党の政権運営は国民の要望を吸い上げられず、もどかしい思いをしていました」と頭を下げ、支援者ひとりひとりと握手した。

　この日は１９９３年に亡くなった父の命日だった。４７年に角栄氏が初当選（中選挙区制の旧新潟３区）して以来、圧倒的強さを誇った地盤で、初の敗北。報道陣には「選挙前に家族でお参りに行きました。特別に命日とか誕生日とかこだわっていません」と話し、「ここで落ちたからと言って政党を変わったり、選挙区を変えるつもりはない」と述べた。

　真紀子氏は気丈に振る舞ったが、陣営はいらだちを隠さなかった。比例の結果まで会場に残ろうとする報道陣に「もう会場を撤収しなくてはいけないんだ。出て行け！」とどなりつける一幕もあった。

　角栄氏が一代で築き上げた「田中王国」。獄中で立候補しても、脳梗塞で倒れて立候補しても１６期連続で当選した。父娘交代の端境期となった１９９０年衆院選は空白となったが、９３年からは真紀子氏が連続当選。それも６期で途絶え、比例復活の道も断たれた。

　父を支えた越山会のような強力な組織はなかった。今回の選挙では角栄氏からの薫陶を受けて育った元越山会青年部長の新潟県議・星野伊佐夫氏（７３）が、対立候補の長島氏の後援会長に就任。元公設秘書の穂苅英嗣氏（６２）は「最初のうちは角さん人気でいけましたが、身近な人の心をつかむのがうまかった角さんと違って真紀子さんは、組織と協調できない。地盤を受け継いでから票が増える要素はなかったと思います」と話す。関係者によれば、今回の選挙活動中もウグイス嬢を「ヘタだから降りなさい！」とどなりつけ、車から降ろさせることがあったという。

　それでも、頼みの綱は父の代からの「角栄信者」。特に支持者が多かった山間部を含めてミニ集会を何度も行い、持ち前の毒舌で支援を訴えたが、自ら招いた大学設置認可騒動なども響いた。

　元公設秘書の須藤義雄さん（６９）は「口はうまいが、父親と違って政策がないことに（有権者たちも）ようやく気付き始めたのだと思います」とピシャリ。参院へのくら替えや政界引退は否定した真紀子氏だが、６５年間続いた「田中王国」にひとまず幕が下りた。