衆院選の投票日を迎えた。日本の針路をどう定めるかはひとえに有権者の判断次第だ。よく考えて投票所に足を運んでもらいたい。
選挙戦の現場を歩いていて、誰に投票してよいかがわからないとの声を何度も聞いた。
なじみのない新党が乱立する。衆院選の投票率が過去最低の59%台に落ち込んだ1996年に似た状況だ。本紙のネット調査などでも必ず投票に行くとの回答は前回選よりも少なかった。
日本の政治が長らく情けない状況にあるのは指摘するまでもないが、嘆くばかりでは何も始まらない。日本の経済力の後退や周辺国の台頭で、どの党が政権を担ってもかじ取りは容易ではない。
「岡目八目で、他人の打つ手は批評が出来(でき)るが、さて自分で打って見ると、傍で見て居た様には行かないものさ」
これは勝海舟の著書の一節だ。江戸幕府をあっさり店じまいしたことで、旧幕臣らにあれこれ批判されたのだろう。傍観していたやつが文句を言うな、との気分が読み取れる。
水戸黄門が突然、印籠を振りかざして万事解決というのは残念ながら物語の世界でしか起き得ない。最善の選択肢が見当たらなければ、少しでもましな方を選ぶ。これだって立派な選択だ。ビジネスも同じだろう。あきらめて投げ出せば会社は倒産だ。
東日本大震災を経験し、被災した人はもちろん、しなかった人も日本という国はどうあるべきかを改めて考える機会があったのではないだろうか。その思いを次代に引き継いでいくにはどうしたらよいか。選挙での意思表示はその大事な一歩だ。
少子高齢化が一段と進み、世代構成はすっかりいびつになった。どの政党も数が多い高齢者のご機嫌取りに力を入れる。若い人たちが政治に嫌気がさすのも当然だ。
この傾向が加速すれば民主主義は成り立たなくなる。若い人を社会の動きにどうかかわらせるか。これは選挙以外にも通じる話だ。
日本政治に詳しいコロンビア大のカーティス教授は「政治はその国を知るために開いた窓だ」という。政治に背を向けるとは、日本という国に背を向けるに等しい。
過去2回の衆院選で、小さな1票も積み上がれば大きな潮流を生み出すことを知った。今回はどんな姿が現れるのか。傍観するには惜しいイベントだ。
日経平均(円) | 9,737.56 | -5.17 | 14日 大引 |
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