福島の活動を始めてここ1年半以上は、震災と原発事故によって取り残された犬猫のレスキューにかかり切り。でも、助けるべき犬猫は他にもたくさんいることを忘れた訳ではありません。
「震災がなければ私が保健所から引き出せていた子が、殺されているんだな」
そんなふうに思うこともあります。
今から1ヵ月半ほど前の10月末頃。
リーダーは保健所から2頭の小型犬をレスキューしました。警戒区域に残された犬たちはみな中型か大型で、里親さんを見つけるのは至難の業。でも、小型犬なら、きっと貰い手があるだろう。助けられるなら助けたい。そう考えてのことでした。
ヨークシャーMixだとばかり思っていたこの子、スプーン君。リーダーがTwitterで里親さん募集を投稿すると「その子、ノーフォークじゃない!?」というご指摘が。
いや本当に、ノーフォークテリアという珍しい犬種のワンちゃんでした。
まだ若く、いくらでも飼いたい人のいそうな彼が、なぜ保健所へ来たのかは分かりません。しかし、とにかく殺処分の危機からは逃れることが出来ました。
病院での虚勢手術やウィルスチェック、2回のシャンプーなど一通りケアを終えると、すぐに里親様が決まりました。
ところが譲渡から2週間ほどたった先週の土曜日。里親様から、スプーン君が疥癬に感染していたとの連絡を頂いたのです。
リーダーが福島へ行っている間、あちこち預かってもらっているし移動もしている。何より大網ご自宅にもいましたから、他の子たちに移っているのでは?!と、里親様はとても心配くださいました。しかし幸いにして、大網家を含めスプーン君が行った先で疥癬の症状が見られる子は出ていません。
里親さま宅の先住ワンコであるトイプードルにも、感染しないよう万全の体制を取られたと伺っています。
こんな小さな体で、あの疥癬特有の、見ているのがかわいそうなほどの激しいかゆみに苦しんでいるかと思うと胸が痛みますね。
天真爛漫で健康そのものに見えるこの子も、やはり捨てられた暗い過去を背負っている。そんなふうに感じさせられる出来事でした。
私たちは、震災と原発事故により取り残された子たちを助けたいし、助けてきました。でも、こうして非常時に犬猫が放置されてしまうことは、全国で毎年30万以上のいのちが奪われている殺処分の問題と無関係ではありません。
犬でも猫でも、珍しくても平凡でも、健康でも病気持ちでも、どんないのちも等しく大切で、奪われてはならない。そうした考えを持つ人が増えない限り、あらゆる場所で悲劇は起こってしまいます。
福島の問題も殺処分の問題も、いきなり全部は解決できない。一人に出来るのはいつも小さなことです。それでも、地道に1歩1歩、かけがえのない一つ一つの命を守って行きたい。それが積もり積もって大きな成果になるのだと思います。
みなさまからも、小さくて大きい、地道なご支援を頂戴できれば幸いです。
(ささきち)