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'12/12/17

サンフレV、感動胸に引退



 広島商工会議所(広島市中区基町)内のレストラン「メルキュール」で、J1サンフレッチェ広島の試合を放映し応援してきた加藤省吾さん(71)が22日、高齢のため店主を退く。サポーターが詰め掛け、選手、監督も訪れた応援拠点。娘の浜田環さん(39)が近くにレストランを開き、志を引き継ぐ。

 「店が最後の年に、最高のプレーを見せてくれた。感無量」。加藤さんは、サンフレの優勝が「一番の思い出になった」と喜ぶ。

 1985年から店を運営する加藤さんが、アウェーの試合を放映する「応援会」を始めたのは2007年。J2転落の直前で人気が低迷し、「広島のサッカー界が沈んでしまう」と危機感にかられた。加藤さんは広島商科大(現広島修道大)サッカー部の1期生。常連客にチラシを配って応援を呼び掛けた。

 当初数人だった応援会は口コミで広がり、多い日は100人まで拡大。選手も時折訪れる応援拠点となった。数回来店した森保一監督(44)は「どんな時も応援してくれた。行くと心が温かくなる店」と振り返る。

 引退は聴力や視力が衰えたから。22日でいったん閉じ、店は来年から別事業者が同じ店名で運営する。一緒に店を支えた娘の浜田さんは、来年2月にも近くにレストラン「シェ・モモ」を開く。

 「父が始めたサポーターとの交流を大切にし、サンフレを盛り上げたい」と浜田さん。アウェーの試合放映を続け、応援の場を引き継ぎたいと意気込む。

【写真説明】店で常連客(左)と語り合う加藤さん親子




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