'12/12/16
そごう閉店 文化で存在感
1月末に閉店するそごう呉店(呉市西中央)は、文化活動の場、イベント会場としても市民に親しまれてきた。JR呉駅前という立地は集客にも好都合だった。展示会場がなくなると頭を痛める人がいる一方、代わりの場となるギャラリーを開いた人も。買い物客の流出を食い止めるべく、同店が開いていた物産展を引き継ぐ動きも出ている。
ワゴンが並ぶ販売スペースの一角に叙情豊かな風景などを描いた水墨画が並ぶ。地元愛好団体が17日まで同店イベントプラザで開く作品展。買い物がてらに立ち寄る人も多い。
今回が8回目。会長の木川健司さん(86)=同市焼山桜ケ丘=は「無料で使え、場所も便利でよかった。来年からどこで開くか困っている」と話す。
呉商高の生徒も2003年から、全国の食料品などを販売する催しを同プラザで開いていた。今年は店側と都合がつかず広古新開の学校に会場を移した。山田友香教頭は「百貨店での販売実習は、プロの店員と間近で接することができ勉強になった」と残念がる。
同プラザは03年4月に開設した。その3年前にグループの破綻で地域に迷惑をかけたとの思いからだ。年間50件を超える利用があったという。
同店が春秋に開いていた北海道物産展は、多くの客でにぎわうイベントだった。恒例行事が消え、市外への購買客流出を防ごうと、呉中通商店街振興組合は11月、道内などの約25店を集め商店街で物産展を開いた。湊義彦理事長は「出店数を増やして来年以降も続けたい」と意気込む。
市内の美術品卸「ブルーム」は8月、そごう閉店の決定を受け、市中心部の商店街に自前の画廊を設けた。そごう出身の荒金薫社長は「呉から百貨店がなくなると、絵画や陶芸の作家を招き作品を展示するスペースがなくなる」と説明する。
高田順一店長は「これまで多くの人に利用してもらい本当に感謝する。閉店は申し訳ない」と話している。
【写真説明】販売ワゴンが並ぶスペースの一角で開かれている水墨画展