水俣と福島つなぐ集い:「被害者、強くならんと」 東日本大震災の被災者招き、復興への課題考える /熊本
毎日新聞 2012年10月23日 地方版
東日本大震災の被災者を招き、水俣病と福島原発事故の共通点や復興への課題を考える交流会が21日、水俣市であった。大震災以降、被災地支援を続けている水俣病互助会(水俣市)が企画した。福島県飯舘(いいたて)村の住民グループ「負けねど飯舘!!」メンバーの安斎徹さんら村民2人をはじめ、水俣病患者や医師ら約20人が参加した。【西貴晴】
安斎さんは「飯舘村は山林が多く放射性物質の除染は効果がない。村民は避難先から無理に村に帰され、仮設住宅から出されることを心配している」と現状を語った。また「長年水俣病と闘っている皆さんが、自分たちのこと以上に被災地を心配してくれている。私たちも頑張っていきたい」と話した。
これに対し、患者勝訴となった水俣病1次訴訟原告の一人、坂本フジエさん(87)は「裁判を起こさなかったら今も会社(チッソ)の言いなりだったはず。被害者が強くなって頑張らんといかん」と激励を込めて語った。
ブログなどで被災地支援の情報を発信している夫婦漫才師「おしどり」の2人も東京から参加し「住民の立場に立って活動する医師を見つけることが大事だ」などと話した。
飯舘村の様子を映したビデオを見た後、水俣市の医師、高岡滋さんが水俣病医療の歴史を紹介し、福島での将来の医療に向けた疫学調査の大切さを訴えた。今月27日、山形市で開かれるアジア環境会議に参加するため来日しているタイのNGO関係者4人も交流会に参加した。