日本の政界はプロレス界にそっくりだ

繰り返される内部分裂と衰退

日本では市場規模も人口も縮小していく中、どの業界の企業も、合理化とM&Aによる効率化と、優れたサービスの提供によって生き残りを図っている。しかしながら、政党とプロレス団体だけは、逆にどんどん分裂して連立・再編・失敗を繰り返し、ファンと有権者の利益を度外視したところで供給者側(=政治家)の論理がまかり通っている。

有権者の立場からすると、政治主導をうたって官僚支配を強めた民主党にも、今の日本の構造的問題をつくった自民党にも、投票する気がしない。そのため、有権者が第三の極を求めたのは自然な流れだったが、維新の会は、分裂が目に見えている拙速な合併を最も誤った相手と行ってしまった。

橋下氏は、石原氏の「出過ぎた杭は打たれない」型の発言スタイルを参考にしているのが見て取れるが、政策的にも参考にしてしまわないか心配だ。確かに石原氏のコミニュケーションスタイルはときに魅力的で人を引き付けるが、肝心の政策面では、新銀行東京やオリンピック誘致での失敗、そして領土問題などすべてで、日本国民に莫大な損失をもたらしている。

はっきりモノを言うのは魅力的だが、問題ははっきり間違っている点だ。票は集められても政策判断が破綻していることは、失敗だらけの過去が証明している。

私の本業の投資業務にたとえると、投資家は口の上手いファンドマネジャーに巨額の投資をしてしまいがちだが、おカネ集めは上手くても投資が下手な人も多く、結局損をするというパターンはよくある。私がグローバル金融界における投資経験から得た教訓の一つは、「口下手でも真面目に仕事をする人にカネを運用させろ」である。

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