日本の政界はプロレス界にそっくりだ

繰り返される内部分裂と衰退

繰り返される政党の分裂と出戻りは、老舗団体からレスラーが抜けてインディーに移っては、失敗して舞い戻ってくるのと同じだ。ともに党名が皮肉なことで有名だが、古臭すぎた「国民新党」と、立ち上がれなかった「たちあがれ日本」は、予想どおりの展開とはいえ、いったい何だったのだろうか。

党内の権力闘争に敗れて結局独立したものの、当該団体だけでは何もできないので、人気政党と連立を組もうと生き残りを画策した。しかし背負うと重い子泣き爺(こなきじじい)よろしく、若者の背中にずしりと覆い被さっている。

この動きは「交流試合」という名目の下、他団体との共同興業による生き残りを目指し、提携先も道連れに失敗したプロレス団体を思い起こさせる。もはや気の毒な「減税日本」にいたっては、リングインする前の場外乱闘で、昨日組んだタッグパートナーに椅子で叩かれてノックアウトという感じだ。

アイデンティティを失い団体が瓦解

そもそも根本的なアイデンディティの異なる団体同士の交流試合はうまくいかない。UWFと新日本プロレスが“交流試合”やプロレスリングノアと新日本プロレスのそれが長続きしないか、空中分裂したのと同じように、維新の会に群がる政治団体の連携は機能せず、“ファン”である有権者にもそっぽをむかれるだけだ。

私は、維新の会には、地方分権や選挙制度改革、行政改革に特化して頑張ってほしかったのだが、「立ち上がれなくて、座っていてくれたほうが日本のためになりそうな人たち」と組んでしまった。これでは残念ながら、少数政党の国民新党に踊らされ、巨大な支持基盤を失った民主党と、同じ轍を踏むのが目に見えている。

橋下氏はカリスマもあるので、周囲を国際感覚豊かで、社会を良くした実績のある人で固めることが重要だ。政治キャリアの初期に、お付き合いする人を間違ってしまうと、せっかくの才能を間違った方向に利用されかねない。橋下氏の才能と発信力が、虐げられてきた社会的弱者を守るために使われることを切に願う次第である。

なお、既存政党の党勢が落ちていく理由もプロレス団体の凋落パターンに類似する。

本来のアイデンティティを失い、他政党と組んで連立での過半数確保だけをひたすら目指していると、本来のミッションを見失い、コアな支持基盤が瓦解するのだ。たとえば新日本プロレスはストロングスタイルからの乖離でショーマンシップに走り迷走し、次にできもしない格闘技に手を出して完全に自滅の道をたどった。

政策の是非は別として、自衛隊反対の旗を降ろして自壊した社会党、消費税を上げないと言って上げた民主党、郵政を改革すると言って路線を覆した自民党などと、ことごとくダブるものがある。

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