アメリカ国務省のベントレル副報道官代理は、今回の中国機の行動を領空侵犯と呼び、この問題に対して、「アメリカの尖閣諸島に対する立場は変わらない」としました。アメリカ上院は先月29日、2013会計年度の国防予算の枠組みを決める国防権限法案の修正案を全会一致で採択し、その中でアメリカは日本の尖閣諸島の領有権を認めています。このアメリカの措置は中国の強い反発を引き起こしました。
中国外務省のコウライ報道官は、尖閣諸島は常に、そして古来から中国の領土の一部で、中国のこの島の主権は否定できないものだと強調し、アメリカに対してこの問題において中立を保つよう求めました。さらに、「日本とアメリカの軍事的な取り決めや協力の裾野を尖閣諸島に拡大すれば、地域に冷戦状態を作り出し、アメリカとの二国間関係に影響を及ぼす」と述べています。尖閣諸島をめぐる日中間の対立は、日本が、この島々の一部を民間の所有者から買い取り、それを国有化したことを受けて高まり、両国の関係を悪化させ、経済取引を縮小させました。
政治評論家は、地域の経済大国である日中の対立の拡大は、日本の右派勢力とアメリカの支持者によって計算された措置だと見ています。彼らによれば、地域における軍事駐留の強化に向けたアメリカの新たな戦略、中国をけん制する政策に注目すると、地域の領土問題はアメリカの軍事計画の実施に向けた土台を作っています。アメリカはアジア太平洋地域における国益、安定維持を口実にした地域諸国の問題への干渉について説明することで、地域で自国の軍事計画を推し進めようとしています。
アメリカはさらに、「日本が所有する尖閣諸島に対する中国の軍事的な脅迫を阻止する」として、新たな兵器を日本に売却しようとしています。アメリカ国務省は先週、日本のミサイル防衛力の強化を目的とした同国への4億2100万ドル相当の兵器売却に合意したことを議会に報告しました。東アジアにおけるアメリカの目的に注目すると、日中の対立の解消の見通しや国連に提出した中国政府の尖閣諸島領有権をめぐる申請書の行方は、曖昧なものとなっています。中国が今回国連に調停を求めたことは、象徴的な措置であり、尖閣諸島をめぐる同国の動きを国連の加盟国に説明するために行われたものなのでしょうか。それとも、地域の情勢悪化の兆しとなるのでしょうか。いずれにせよ、国連の反応とアメリカ、日本の対応を見る必要があるでしょう。