米軍内の性犯罪 被害者視点で映画化

米軍内の性犯罪を描き、アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画部門審査対象に選ばれた「The Invisible War(見えない戦争)」

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2012年12月15日 09時57分
(14時間51分前に更新)

 【平安名純代・米国特約記者】米映画芸術科学アカデミーはこのほど、第85回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門賞候補の審査対象15作品の一つに、米軍内の性的暴行をテーマにした「The Invisible War(見えない戦争)」を選出した。監督のカービー・ディックさんは、在沖米軍による性犯罪の状況についても情報を集めて撮影に入っており、「被害者が告発しにくい実態を変える契機になれば」と期待している。

 同映画は、サンダンス映画祭で観客賞を受賞したほか、国際ドキュメンタリー協会賞の長編部門賞の候補にも挙がっている。

 アカデミー賞は来年1月に最終候補が発表され、2月にハリウッドで開かれるアカデミー賞授賞式で受賞者が発表される。 

 「見えない戦争」は、レイプの経験がある元女性兵士らの証言を軸に、加害者の責任を追及することができる仕組みをつくろうと立ち上がった被害者らを描く。議員らへの陳情や米国防長官を相手に裁判を起こした流れを追いながら、米軍内の「見えない戦争」の実態を浮き彫りにしている。

 映画製作のきっかけについて「米兵が米兵をレイプするという記事を読んで衝撃を受けたから」と話すディックさん。撮影開始前の調査で在沖米軍の性犯罪の歴史も学んだといい、沖縄の実情に対し「一般の米市民は知らない事実。二重の衝撃を受けた」という。

 映画完成後にワシントンで開かれた試写会には、パネッタ国防長官も参加。「被害者が事件を届け出やすくなるように、上司への報告義務を省くなど形態が変更された」と報告し、映画という手法を通じて闇に光を当てることで、問題が改善に向かうよう期待を示した。

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