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【埼玉】総選挙 師走の陣<下> 8区 市長選の争い再燃
「民主党は駄目だ。子ども手当で『地方に迷惑を掛けない』と言ったのに市の負担は随分増えた。これ以上翻弄(ほんろう)されてはかなわない」。衆院選公示日の四日、所沢駅西口。自民前職柴山昌彦の出陣式で声を張り上げたのは、元自民県議で所沢市長の藤本正人だった。 その十分後、同じ場所で民主前職小野塚勝俊の出陣式が始まった。マイクを握ったのは元民主県議で前所沢市長の当麻好子。「政権運営には厳しい批判をいただいたが、前政権が先送りした課題が多かったこともご理解いただきたい。所沢から民主党議員を送り出してほしい」と訴えた。 有権者の八割を所沢市民が占める8区の争いは、昨年十月に行われた所沢市長選の「延長戦」の色彩も帯びている。 市長選には無所属の三人が出馬した。民主支持で再選を目指す当麻。自民推薦の藤本。そして、今回の衆院選に維新から立候補している元衆院議員の並木正芳だ。当麻陣営に入った小野塚は、遊説を取り仕切るなどして加勢。一方の藤本は柴山を選対部長に迎え、約千六百票の僅差で次点の当麻を破った。 公示直前の一日、立候補予定者の公開討論会が市内で行われた。小野塚は今年二月に日米両政府が合意した米軍所沢通信基地(所沢市)の一部返還に触れ「民主政権が実現させた。全面返還への第一歩だ」と主張。柴山がすかさず「歴代先人たちの血のにじむような努力があって勝ち取ったものだ」と切り返し、地元向けの「手柄」をめぐり火花を散らした。 ただ大票田の所沢市には、多くの「埼玉都民」も住む。国政選挙では、地元意識の薄い無党派層の票が勝敗を左右する。 柴山は前回は小選挙区で小野塚に敗れたが、比例で復活当選した。今回は優勢が伝えられるが、前回と同様に駅立ちも徹底して引き締めを図る。一方、党への逆風に苦しむ小野塚は「浮動票の獲得は厳しい」(陣営幹部)。街頭では、金融政策のプロであることなどを強調し、「まだまだ働かせてほしい」と必死に訴えている。 「私は環境大臣政務官も務めた。再生可能エネルギーを推進し、将来は放射能を無害化する技術も進めないといけない」。所沢市内のスーパー前で四日、並木が買い物客の女性らに支持を訴えた。 所沢市議、県議を経て衆院議員を二期務め、地元での知名度は高い。前回は自民党から比例北関東ブロックに単独で出馬したが、落選。昨年の所沢市長選には「所沢で改革をやってみたい」と挑んだ。今回は「(道州制への移行が公約の)維新の主張はまさに地方分権だ」と、新たな看板での出馬を決意した。 共産新人の辻源巳は、東日本大震災被災地の早期復興や「原発ゼロ」などの政策を強調。公示直前に公認されたばかりの未来新人西川浩は、「卒原発」など党の政策を訴えながら、名前を売り込むのに懸命だ。 =敬称略 (上田融) ◆8区 所沢・ふじみ野市(旧大井町)、入間郡(三芳町)小野塚勝俊40 党政調会長補佐 民前<1> 辻源巳41 党地区常任委員 共新 西川浩55 (元)山口県職員 未新 並木正芳63 (元)内閣府政務官 維元<2> 柴山昌彦47 (元)外務政務官 自<前><3> (届け出順) PR情報
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