10日に83歳で死去した俳優小沢昭一さんの葬儀・告別式が15日、東京都新宿区の千日谷会堂で営まれた。俳優の中尾彬と池波志乃夫妻、俳優の草笛光子、作家の沢地久枝さんら親交のあった各界の関係者ら約500人が参列し、別れを惜しんだ。
中学以来約70年の交友があった俳優の加藤武は、小沢さんを「あんた」と親しげに呼び掛けながら弔辞を述べた。「けいこが大好きで、幕が上がるとかーっと熱くなり、D51が驀進するようだった。放浪芸の研究は文化史に残る偉業。あんたはすごい人だった」
社会学者の加藤秀俊さんは「小沢さんの学問は、民俗学でも社会学でもない小沢学。受け継がれていくと信じている」と話した。
白い菊や赤いカトレアなどに囲まれた祭壇には、たばこを手にくつろいだ表情の3年前の写真が遺影として飾られた。
ひつぎには、1万回以上続けたラジオ「小沢昭一の小沢昭一的こころ」で次回放送予定だった台本、全国各地の芸能を録音したレコード、主演映画のポスターなどを納めた。
小沢さんが歌った「ハーモニカブルース」が流れる中、出棺。「ありがとう」「お疲れさま」との声が掛かり、温かい拍手で見送られた。(共同)