中国:旧日本軍の南京占領75年 追悼式典、反日デモなく粛々と
毎日新聞 2012年12月14日 東京朝刊
【南京(中国江蘇省)隅俊之】多数の中国人が殺害された南京事件のきっかけとなった旧日本軍の南京占領から75年の13日、江蘇省南京市の「南京大虐殺記念館」で追悼式典があり、約9000人が出席した。日本政府の尖閣諸島(中国名・釣魚島)国有化で反日デモが頻発して以降、初の開催となったが、記念館側は「(式典内容は)例年通り」としており、比較的落ち着いた式典となった。
南京事件をめぐっては、南京市と姉妹都市である名古屋市の河村たかし市長が今年2月、事件を否定する発言をし、両市間の公的な交流が止まっている。記者会見した記念館の朱成山(しゅせいさん)館長は、河村氏の発言について「歴史に対し無責任な発言だ。南京市と名古屋市は初の友好都市なのに」と述べ、改めて非難した。事件の生存者は現在200人を切っているといい、生存者の李鐘さん(86)は「日本の政治家は歴史を尊重すべきだ」と話した。
南京市内では13日、デモなどの発生はなく、中国メディアの報道規模も例年並みだった。ただ、式典の終了後、記念館の敷地内でパソコンを操作していた共同通信の男性記者が、若い男に突然腰をけられた。さらに、別の中年の男が「お前は日本人か」と叫び、記者のマフラーを引っ張るなどの暴行を加えた。痛みがあるが、けがはないという。