韓国が宇宙ロケット開発で北朝鮮に後れを取る理由など、本来なら見当たらないはずだ。韓国は1978年に地対空ミサイル「シロクマ」を開発し、試験発射に成功した。しかし朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領の死去後、全斗煥(チョン・ドゥファン)政権は対米関係改善のため独自のミサイル開発放棄を宣言し、海外から帰国した研究者たちは完全にバラバラになった。また、2002年に航空宇宙研究院は液体ロケット技術を独自で開発したが、その技術や性能を向上させる努力も意志もなかった。その後も韓国政府は北朝鮮のテポドンミサイルを意識し、「誇示」目的の宇宙ロケット開発にばかり力を入れたため、結局はロシアの技術を導入する方針を決めた。これによって、韓国国内で技術開発の脈は再び途切れてしまった。
日本は1954年、直径1.8センチ、全長23センチ、重さ200グラムの「ペンシルロケット」から始まり、数々の失敗を重ねながら固体ロケットの開発に執念深く取り組み、1970年には世界で4番目に人工衛星の打ち上げに成功した。中国のロケット開発を引っ張ったのは、1955年に米国から帰国した銭学森博士だった。江沢民元国家主席と胡錦濤前国家主席は、旧正月の度に銭博士の自宅を訪問し、銭博士が国のために果たした功績に感謝の意を表し、また病に倒れてからは何度も見舞いに訪れた。中国に留学組の科学者が次々と帰国し、その活躍で中国が宇宙開発大国となれたのは、科学者に対するこのような中国政府幹部の認識が根底にあったからだ。
今年度、韓国の宇宙開発予算は2400億ウォン(約186億円)で、担当するのは教育科学技術部(省に相当)の一つの課だ。これでは韓国は、すでに北朝鮮に後れを取った宇宙ロケット技術の現状に舌打ちする資格もない。韓国は今こそ、科学技術と宇宙開発に向けたビジョンと戦略を改めて考え直すべきだ。それには何よりもまず、国の最高指導者から認識を改めなければならない。