「元祖バイリンギャル」として、また、CMの「しば漬け食べたい」のセリフで人気を博した山口美江(やまぐち・みえ)さんが7日、心不全のため横浜市内のマンションで死去していたことが9日、分かった。関係者によると、1か月ほど前から体調を崩して通院治療していたが、容体が急変。近所の人が亡くなった日の夕方、自宅近所で犬の散歩をする山口さんの姿を目にしていたが、51歳の若さで突然、この世を去ってしまった。
英語が堪能な「元祖バイリンギャル」として「CNNヘッドライン」のキャスターを務め、一方では「しば漬け食べたい」のCMで全国的な知名度を得ていた山口さん。96年に芸能界の第一線から退いていたが、自宅マンションで孤独死していた。
所属事務所によると、山口さんの自宅近所に住む親類が8日の朝、山口さんに電話を掛けたものの出なかったため、不審に思って訪ねたところ、リビングに部屋着で倒れている山口さんを発見した。所轄の山手署は「事件性はない」としており、7日に病死したとみている。山口さんは一人暮らしだった。
1か月ほど前から目まい、息切れなどを感じ、週2回、通院治療していた。先月28日には企業のPR雑誌の取材を受けていたが、その際は「話し方などはいつも通りで、特に気になることはなかった」と所属事務所は説明。異変は感じられなかったそうだ。
自宅近くの住民も亡くなったとみられる7日まで、普段通りの生活を送る山口さんを見ていた。「(7日の)午後3時頃、犬の散歩をしている姿を見かけました」と50代の女性。ただ、いつもより元気がなかったのが気になったという。「最近、急に年を取ったような感じだった」と話す人もおり、周囲の想像以上に体調が悪かった可能性もある。
高校時代からモデル業をしていた山口さんが注目されたのは、87年7月からオンエアされたフジッコのCM。同年9月からは得意の英語を生かし、「CNN―」のキャスターに抜てきされた。その後、キャスター業を続けながらTBS系「海岸物語 昔みたいに…」(88年)や映画「あ・うん」(89年)などに女優として出演。また、日本テレビ系「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」などのバラエティー番組でも人気を集めるなど、マルチに活躍した。
その一方、“お騒がせタレント”としても知られた。インタビューで「理想の男性」と話した渡辺正行(56)とは89年に熱愛騒動を起こし、92年には当時のマネジャーが横領で書類送検された。95年、自身の激太りが報じられ、翌年には自殺未遂騒動を起こしているが「恋愛関係で悩んでいたことが原因」とも言われた。
96年9月に「芸能界がイヤになった」と引退を発表。その後は横浜市内で輸入雑貨店を営んでいたが、後に引退の理由は「父親がアルツハイマー病を発症したため」と明かした。その父は2006年9月に死去。08年1月には壮絶な介護生活をつづった「女ひとりで親を看取る」を刊行。最近は介護についての講演活動などを行っていた。
なお、葬儀・告別式は近親者のみで行う予定。喪主は置かないという。
◆山口 美江(やまぐち・みえ)1960年9月20日、神奈川県生まれ。小学校から高校までインターナショナル・スクールに通い、上智大に進学。芸能界デビューは82年、「シチズン」の海外向けキャンペーンモデルで。87年、フジッコのCMで注目され、同年「CNNヘッドライン」のキャスターに。以降、ドラマやバラエティー番組に多数出演。96年に芸能界引退を発表。近年は講演会やトークショーを中心に活動していた。
[2012/3/10-06:05 スポーツ報知]