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ペニオク詐欺 「やらせ広告」横行

 インターネットのペニーオークションの運営者らが商品を落札できない仕組みにして参加者から入札手数料を詐取したとされる事件で、市場価格が4万〜7万円の商品を1080円で落札したと自身のブログにうその書き込みをしたタレントはほしのあきさん(35)で、ほかにも複数の芸能人が同様の虚偽の書き込みをしていたことがわかった。京都、大阪両府警は、運営者らが広告であることを隠してサイトを宣伝するステルスマーケティングを行っていたとみて調べる。

 

ほしのあきさん、熊田曜子さん、小森純さんらブログに嘘

 捜査関係者らによると、新たに虚偽の書き込みが判明したのは、グラビアアイドルの松金ようこさん(30)、タレントの熊田曜子さん(30)、モデルの小森純さん(27)ら。

 いずれも、摘発された「ワールドオークション」や、鈴木隆介容疑者(30)(逮捕)らが運営していたとみられる別の複数のサイトで、家電製品などを格安で落札したと記載し、「絶対オススメ!」「試す価値大いにアリ」などと利用を推奨していた。

 松金さんは、タジン鍋を199円で落札したと書き込み。所属事務所の担当者は読売新聞の取材に「実際は落札していなかった。知人に頼まれ、金ももらったようだ」と話した。

 熊田さんはオーブンレンジを5220円で落札したと記載。所属事務所によると、熊田さんは「松金さんから頼まれた」とし、「詐欺と思われるサイトを閲覧者に紹介してしまい、申し訳ない」と話しているという。金銭の授受については「確認中」としている。

 小森さんの事務所も「商品を落札していないのに、ブログで紹介した」と説明した。

 捜査関係者によると、ワールドオークション以外のサイトも参加者の落札は困難で、手数料だけ取られる仕組みだったという。芸能人らによる書き込みは2010年10月〜11年1月に集中しており、両府警は、鈴木容疑者らが意図的に広告塔として利用したとみている。 

 

「ステマ」閲覧者に錯覚 対応求める声

 人気タレントだと数万人が閲覧し、影響力も大きい芸能人ブログ。特定の商品を称賛する書き込みは多く、以前から「ステマ」の横行は指摘されていた。閲覧者の錯覚を誘うだけでなく、事件に巻き込まれる危険性も今回明らかになり、識者からは厳しい対応を求める声も上がっている。

 約1万3000人の芸能人ブログを運営するサイバーエージェント(東京)は、企業からの依頼で芸能人に商品を紹介してもらうサービスを手がける。誤解を防ぐため、企業から商品を紹介されたことを明記するよう義務づけているが、芸能人側が企業と直接契約するケースまではチェックできないという。問題となった複数の芸能人のブログも同社の運営だが、「各人が勝手にやったこと。弊社とは一切関係ない」としている。

 

 ステルスマーケティング ステルスは「隠密」の意味で、広告であることを隠して企業が宣伝する行為をいう。飲食店の口コミサイト「食べログ」で今年、飲食店が業者に良い評価を書き込むよう依頼した「やらせ投稿」が発覚して話題になった。消費者庁は景品表示法違反(不当表示の禁止)に当たる恐れがあると指摘しているが、規制はない。

2012年12月14日  読売新聞)
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