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「安倍イニシアチブ」で始まる日本の逆襲 日銀政策がカギ- 夕刊フジ(2012年12月14日17時12分)

 【お金は知っている】慢性デフレと超円高のせいで日本は経済が大きく萎縮し、家計は疲弊し、若者の雇用機会が失われ、国家財政は税収減のために赤字が膨らむ。企業は国外に活路を求めざるをえず、「排日」暴力、「日本製品不買」を覚悟してまで中国への投資を続行する。

 国力の衰退につけ込むロシア、中国、韓国は日本領土占拠の既成事実を固めるか、または奪取に向けて大攻勢をかける。現下の国家危機は経済失政から発しているのに、メディアの圧倒的多数は「デフレ下の増税」や円高を高進させてきた日銀の金融政策を容認してきた。

 自滅コースに猛然と反旗を翻し、脱デフレ・超円高是正へと政策の大転換を訴えて支持を集める安倍晋三路線が衆院解散総選挙で勝利を収める意義は大きい。国全体が負け犬意識から目覚め、反攻に転じる証しになるからだ。

 戦後史上、これまで総選挙の焦点になった例がない日銀の金融政策を真っ先に取り上げ、量的緩和、ゼロまたはマイナス金利政策、インフレ目標の設定、さらには日銀による建設国債の無制限買い取りという大胆な金融政策転換の提起がよもや有権者を引きつけるとは、だれが予期しただろうか。安倍氏は、日本の国力再生は脱デフレ・超円高是正が前提であり、最大の鍵が日銀政策だと見極めた。いわば時代の要請に応えたのだ。安倍提案に意表をつかれた日本経団連など財界、日経新聞などメディアの反発、狼狽ぶりが象徴するように、これまで現状を追認し、思考を停止してきた各界の主流派の堕落こそが、日本の衰退を加速させてきた元凶とも言える。

 メディアの少数派ながら、長年にわたって政府・日銀の大転換を促してきたと自負する筆者としては、手応えを感じるとともに実に久々に真のリーダーシップをみる思いだ。経団連も日経も、朝日、毎日、読売の全国紙も、安倍勝利となると、手のひらを返したように、日銀に政策転換を求めるようになるだろうが、まずは日本衰退に加担してきた裏切り行為をざんげすべきだ。

 安倍イニシアチブ(主導構想)の先見性、有効性は、すでに市場の反応で証明されている。要は実行である。敵は自民党内にも少なくない。円安、インフレになれば長期金利が上がるなどというデマを財務、日銀官僚から吹き込まれている。「物価が下がるデフレのどこが悪い」と本音を漏らす有力議員すら安倍氏周辺にいる。お札を一挙に3倍刷った米国のインフレ率は2%以下で、しかも長期金利は下がっている。マイナス金利政策に踏み切ったデンマークでは一転して銀行貸し出しが増え始めた。

 「安倍政権」が成立すればさっそく大型補正を含む予算編成に臨むが、財政と金融の両輪をフル稼働させる路線の確立が鍵になる。その点、4月に任期切れとなる白川方明日銀総裁の後任人事がからんでくる。大胆な安倍人事で国会同意の壁を突破すれば、市場も国民も待望する日本再生が確信に転じ、経済全体が活気づくに違いない。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

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