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被災地の生活再建と産業再生に全力を

2012/12/15付
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 東日本大震災の被災地が再び、冬の厳しい季節を迎えている。被災者の生活再建や産業再生はまだ緒に就いたにすぎない。

 岩手県や宮城県では被災した住宅の高台移転やがれきの処理が思うように進まない。農業や水産業の立て直しもこれからだ。

 福島県では放射性物質を取り除く除染作業が遅れている。帰還が長期にわたって困難な地域の住民が仮移転する「仮の町」構想も停滞している。事故を起こした原子炉の廃炉にどう取り組むかも明らかではない。

 各政党ともに震災復興に全力で取り組む姿勢を打ち出している。それならば、司令塔であるはずの復興庁の機能を強化し、地元の要望に寄り添うように予算を柔軟に配分することが欠かせない。

 震災復興のために法人税の増税が始まり、所得税や住民税も増税するのだから、反捕鯨団体に対する監視船の借り上げのような被災地に関係のない事業に予算を流用するなど言語道断だ。真に必要な事業を改めて精査すべきだ。

 被災地の将来像を改めて議論する必要もある。再生可能エネルギーや先端医療の拠点などを整える方針になっているが、各党の公約では具体像が見えない。

 各党に強く求めたいのは衆院選後の対応だ。政権の枠組みがどうなろうとも、震災復興には協力して取り組むべきだ。

 防災や減災対策も衆院選の争点である。南海トラフ地震や首都直下型地震などに備えるために避難路を確保したり、住宅の耐震化に取り組んだりするのは確かに必要だ。老朽化が著しい道路や橋などの補修も緊急の課題だろう。

 しかし、旧来型の公共事業が紛れ込んでいるのはおかしい。自民党は日本海国土軸など多軸型国土の形成を掲げている。一部の道路については費用対効果に関係なく、整備すると書いている。

 公明党も「防災・減災ニューディール」と称して大規模堤防の整備などを盛り込んだ。避難用ビルを建てるなど必要な事業はあるだろうが、ハード面の対策だけでは被害を防げないというのが、大震災の教訓だったのではないか。

 防災対策ではまず、優先度をしっかりと決めることが重要だ。震災を理由に、公共事業の大盤振る舞いを打ち出す姿勢には違和感がぬぐえない。

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