【西川迅】原子力規制委員会の田中俊一委員長は14日、原発の安全性に対する電力会社の姿勢について「今の状況は極めて不満足。十分ではない。確信が持てない限り運転再開はしてはいけない」と述べ、現状では原発の再稼働は認めないとの認識を示した。英米仏の規制当局トップらとの会合で述べた。
田中氏は東京電力福島第一原発の事故が起きた背景に、原子力業界が「『規制に従っていればいい』ということがあった。安全文化が形骸化していた」と指摘。「再構築するのは非常に大変な道のりで、努力が必要だ」と述べ、現状では不十分との見方を示した。
原発の安全性をめぐっては、福島原発の事故後もずさんな作業が原因とみられる東電柏崎刈羽原発の核燃料の変形や、高速増殖原型炉もんじゅで1万点の機器点検不備などが発覚。田中氏の発言は、原子力事業者の体質が変わっていないことを問題視したものとみられる。