東通原発:断層「活断層の可能性」で一致…規制委調査団

毎日新聞 2012年12月14日 20時50分(最終更新 12月14日 23時40分)

東北電力東通原発の敷地内断層の調査で、トレンチ(試掘溝)で地層の調査を行う原子力規制委員会の調査団=青森県東通村で2012年12月14日、代表撮影
東北電力東通原発の敷地内断層の調査で、トレンチ(試掘溝)で地層の調査を行う原子力規制委員会の調査団=青森県東通村で2012年12月14日、代表撮影
東北電力東通原発の主な敷地内断層と調査地点
東北電力東通原発の主な敷地内断層と調査地点

 原子力規制委員会の有識者による調査団は14日、東北電力東通(ひがしどおり)原発(青森県)の敷地内にある断層が活断層かどうかを見極める2日間の現地調査を終えた。調査団を率いた島崎邦彦委員長代理は、敷地内を南北に走る比較的規模の大きな二つの断層について、「10万年前より新しい時代に再活動したと思われる」と述べ、活断層の可能性が高いとの認識を示した。ほかの4人の専門家の見解もほぼ一致した。

 調査結果は20日の評価会合で議論する。活断層と認定されれば、敷地内での活断層の存在は、日本原子力発電敦賀原発(福井県)に続いて2例目。問題の断層は、敦賀原発のように原子炉建屋の直下を通っていないが、東通原発の耐震性の見直しは必至で、運転停止期間は長期化する可能性がある。

 調査対象は、比較的規模の大きい「F−3」「F−9」と小規模な「s−14」「s−19」の4断層。調査地点は敷地南側で原子炉建屋から1.5〜2キロ離れている。

 このうち、島崎氏は敷地を南北に貫く「F−3」と、原子炉建屋から約200メートル西に走る「F−9」について、「10万年前より新しい時期に再活動し、今後も起こることが自然の結論だ。周辺にも比較的強い影響を与えている」と分析。両断層の活動で「s−14」「s−19」ができたとの見方を示した。

 他の専門家も「活断層だと思う」(佐藤比呂志・東京大教授)、「断層運動のようなものを考えないと説明がつかない」(金田平太郎・千葉大准教授)などと、ほぼ同様の意見を述べた。

 一方、島崎氏は原子炉建屋のある北側の地下でも「同じことが起きている疑いがある」と指摘。北に隣接する東京電力の原発に活断層の影響が及ぶ可能性を示唆した。

 これまで、東北電は、これらの断層について、粘土を含む地層が地下水を含んで膨張する「膨潤(ぼうじゅん)」などが原因で生じたとして「活断層ではない」と主張してきた。これに対し、旧原子力安全・保安院が昨年11月、「データが不足している」と再調査を指示。東北電は年度内に最終報告をまとめる考えを示している。【岡田英、中西拓司、酒造唯】 

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