帯状疱疹:「予知・予防研究へ前進」 大阪の独立法人、小豆島での疫学調査終了 /香川
毎日新聞 2012年12月13日 地方版
独立行政法人・医薬基盤研究所(大阪府茨木市)などの研究チームが小豆島で行っていた国内初の「帯状疱(ほう)疹」疫学調査が終了し、小豆島町でこのほど、報告会が開かれた。
小豆島は人口流動が比較的少ないことから対象に選ばれ、08年から50歳以上の島民の72・3%にあたる1万2522人を対象に、発症の有無を調べたほか、約1万2000人のうちの約5700人は水ぼうそうの抗原を接種する「皮内検査」も行い、免疫力の強さなどを調べた。
研究チームの主任研究者を務めた同研究所の山西弘一所長によると、免疫力が弱い「陰性」の人は、免疫力の強い「陽性」の人に比べ発症率が約5・6倍と高かった。このため、山西所長は皮内検査を行うことで発症を予知することが可能になるとしている。
チームは年齢別の発症率も分析したところ、50歳以上の帯状疱疹発症率は1・07%だったが、加齢に伴って高まり、70歳以上の人は1・4倍高かった。また、男性より女性の発症率が1・5倍高く、水痘の少ない夏季(7〜9月)に発症しやすい傾向があった。チームは、加齢に伴う免疫の低下で発症率が高まると見ている。
山西所長は「貴重なデータにより発症状況が把握でき今後、発症リスク減少が期待できる予知・予防研究に向けた大きな前進となった」としている。【秋長律子】