【藤えりか】米カリフォルニア州シミバレーの原子力研究所で53年前に起きた炉心溶融(メルトダウン)による放射能汚染について、米環境保護局(EPA)は12日、地元で公聴会を開き、環境中に存在する値の千倍以上のセシウムが敷地内から検出されたと説明した。
EPAによると、土壌1キロ当たり最大でセシウム137が7259ベクレル、ストロンチウム90は789ベクレルそれぞれ検出された。ストロンチウムは環境中に存在する値と比べ、284倍に上る。公聴会会場で記者会見した医師ロバート・ドッジ氏は「住民のがん発生について懸念している」と話した。
ロサンゼルス中心部の北西約50キロにある、米政府と民間企業が始めたサンタスザーナ野外研究所のナトリウム冷却型実験用原子炉で事故が起きたのは1959年7月。燃料棒43本中13本が溶融した。詳細はすぐには公表されず、79年にカリフォルニア大ロサンゼルス校の学生の調査で明らかになった。
原子炉は事故後、閉鎖となったが、健康不安を訴える周辺住民らが声を上げ、カリフォルニア州政府の要請も受けたEPAが2009年から、敷地内3735カ所の土壌などの調査に入った。
EPAの調査を受け、州政府は17年までに除染を終えるとしているが、さらに時間がかかるとの見方も関係者から上がっている。