データサルベージコーポレーション(東京都港区、阿部勇人社長、03・5772・2370)は、水没や壊れて読めなくなったハードディスク駆動装置(HDD)からデータを救出・複製する「クローン(複製)工場」を仙台市に設置する。月内に事業母体となる新会社「データサルベージ・ソリューション」を現地に設立し、全国から低コストでデータ復旧を請け負う。内閣府が復興支援で進める「東北未来創造イニシアティブ」の認定も取得しており、被災地での雇用促進と新産業の創出にも貢献する。
「仙台が創業の地」(阿部社長)だった縁から、東日本大地震直後に現地に駆けつけ、被災した病院などの公共データの無償復旧に加え、事業会社や個人から相次ぐデータ復旧要請に実費のみで応じてきた。
この経験から「中小企業や一般個人でも利用しやすい価格体系でデータ復旧を大量にこなすデータ復旧ラインが必要」(同)と判断。クローン工場の立ち上げに向け、HDDに付いた汚れを取り除く洗浄ラインやクリーン設備の整備に乗り出している。
震災当時は高額な外国製のデータ復旧システムを現地に持ち込んだ。だが、殺到する復旧依頼に追いつかず、研究・開発中だった独自のデータ復旧ツール「マサムネ・クローン」の実用化を前倒した経緯がある。同ツールはCD起動によって、パソコンからHDDを取り外すことなく、外付けHDDにデータを複製できる。
高額な設備投資をせずにクローン作成ができ、従来の約4分1のコスト削減が可能なことから、新設のクローン工場で全面活用する。
併せて同業のデータ復旧会社やシステム構築業者などを対象に外販する。第1弾は「マサムネ・クローンRE(リカバリー版)」。実勢価格は20万円以下を見込む。今後1年間で売上高1億円を目指す。
日本データ復旧協会(東京都港区)の調査によると、11年1―12月のHDDデータ復旧依頼件数は震災の影響もあり、業界全体で前年比14・7%増の7万8000台だった。データサルベージコーポレーションは、11年3月から約1年間で震災関連のみで1006件の障害媒体を受け付けた。