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単位について

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無線モジュールの仕様書や電波法関連の資料を見ると色々な単位が出てきます。ここでは基本的な単位について説明します。

dB(デシベル)について

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電気関連ではdBを使った単位が頻繁に出てきますがこれは相対的な比率を表すもので、基準となるものに対して「何dB大きい」、「何dB小さい」という様に表現するもので本来は単位ではありません。(音圧レベルのようにdBを単位としているものもあります)
アンプの電圧増幅回路の増幅率を例にとって説明すると、例えば10000倍の電圧利得のある回路の入力に1mVの信号を入れると、その出力には10000mV(10V)の電圧が発生します。この場合電気技術者は、「この回路の電圧利得は80dBある」と言い、あまり「10000倍ある」とは言いません。それには次のような理由によります。

●視覚的に見て80と10000では0が3つ多くなってしまい、もっと大きい数値を扱うような場合は煩わしくなります。dBを使うと小さい桁数で表わすことができて便利です。

1234567倍を123万倍と見なす場合は、dB表現では121.8dB(1230268倍)であり実用上差し支えありません。

●例えば電圧利得が50.11倍(34dB)と89.12倍(39dB)の増幅器を接続すると、電圧利得は50.11倍×89.12倍=4466倍となり複雑な掛け算をしなければなりませんが、デシベル表現ですと34dB+39dB=73dB(4466倍)と、足し算や引き算で計算が行なえます。
減衰器などが入る場合は割り算しなければなりませんが、dBの世界では引き算で済みます。

●1倍、3倍、4倍、10倍の場合はそれぞれ6dB、9.5dB、12dB、20dBとなり、997倍、999倍、1003倍、1005倍の場合は全て約60dBと表現でき、この倍率に対するデシベル表現が人間の感覚とマッチします

計算式
電圧の比=20log10(V2/V1)、電圧利得=20log10(出力電圧/入力電圧)、減衰量=20log10(出力電圧/入力電圧)、 電界強度=20log10(E2/E1)、一般的な倍率=20log10(A/B)
 電力利得=10log10(出力電力/入力電力)

※電力や電圧の絶対レベルを基準にしたデシベルの単位にはdBm、dBV、dBμVなどがあります。
※単位を見るときには基準が何であるか注意する必要があります。特に電力の利得に関係するものは注意します。
※[dBm]などのような絶対レベルを表すものどうしの足し算、引き算は行なってはいけません。20[dBm]+20[dBm]=23[dBm]です。
絶対利得と相対利得の足し算、引き算は行なってもOKです。20[dBm]+20[dB]=40[dBm]

ここでは20[dB]の電力増幅器に20[dBm]を入力した場合の計算になるので10logで計算します。

※単位は混同して使われているので注意しましょう。

ノイズ電圧、電界強度などでは同じ「dBμ」が使用されることがあり、また電力の場合も一般的にはdBmやdBkですがdBμと表すことがあるので注意しましょう。最近ではノイズ電圧、電界強度などを「dBμV」、「dBμV/m」のような単位で表します。 

dB(デシベル)について

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Javaランタイム版をインストールしてください。

黄色の部分に値を入れて下さい。

無線関連の単位

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無線関連で使われる単位とデシベル表現による単位の一部について説明します。次の表は実用上あまり意味のない値も記入してありますが、何気なく使っている単位がどの位置にあるのかが分かります。

接頭語 電力 電圧関連 電界強度
呼び方 記号 乗数 基準
単位
  本来なら 基準
単位
  おすすめ
表記
基準
単位
  おすすめ
表記
ピコ p 10-12 1pW 0dBp 0dBpW 1pV   0dBpV 1pV/m   0dBpV/m
ナノ n 10-9 1nW 0dBn 0dBnW 1nV   0dBnV 1nV/m   0dBnV/m
マイクロ μ 10-6 1μW 0dBμ 0dBμW 1μV 0dBμ 0dBμV 1μV/m 0dBμ 0dBμV/m
ミリ m 10-3 1mW 0dBm 0dBmW 1mV   0dBmV 1mV/m   0dBmV/m
基本 1 1W 0dBW 0dBW 1V   0dBV 1V/m   0dBV/m
キロ k 103 1kW 0dBk 0dBkW 1kV   0dBkV 1kV/m   0dBkV/m
メガ M 106 1MW     1MV   0dBMV 1MV/m   0dBMV/m
ギガ G 109 1GW     1GV     1GV/m    
テラ T 1012 1TW     1TV     1TV/m    

dBμ が全ての単位で使われているので紛らわしい。
良く使われるもの。一般的に使用する”dBm”は、1mWの電力を基準としたデシベル表記で”dBmW”の事です。

Javaランタイム版をインストールしてください。

黄色の部分に値を入れて下さい。

※”dBmW”は一般的に使用する”dBm”の事です。

[dBm] 1[mW]の電力を基準とする電力比によるデシベル表現で、これを0[dBm]とします。
式1
となります。

※1[mW]=0[dBm]、10[mW]=10[dBm]、100[mW]=20[dBm]、
 1[W]=30[dBm]、1[μW]=-30[dBm]、1[nW]=-60[dBm]

逆換算するには
式2

余談:dBmのmが接頭語のミリの意味があるのでdBmの読みは本来なら「デービーミリ」?また「デービーミリワット」となぜ呼ばないのか?他の単位の読みと照らし合わせると分かり易いと思うのだが・・・・・・。
[dBμV] 1[μV]の電圧を基準とする電圧比によるデシベル表現で、これを0[dB]とします。
式3
となります。

※1[μV]=0[dBμV]、10[μV]=20[dBμV]、500[μV]=54[dBμV]、
1[mV]=60[dBμV]、10[mV]=80[dBμV]、1[V]=120[dBμV] 逆換算するには

式4
[dBμV/m] 1[μV/m]の電界強度を基準とする電圧比によるデシベル表現で、これを0[dB]とします。
式5
となります。
例: 500μV/mの場合   20log10(500[μV/m]/1[μV/m])=54[dBμV/m]
※1[μV/m]=0[dBμV/m]、500[μV/m]=54[dBμV/m]、35[μV/m]=31[dBμV/m]逆換算するには
式6

Javaランタイム版をインストールしてください。

黄色の部分に値を入れて下さい。

[dBi]、[dBd] アンテナの利得を表します。
●基準にアイソトロピックアンテナを用いる場合の利得を絶対利得と呼び、単位に[dBi]を使用します。
●基準に理想的な半波長(λ/2)ダイポールアンテナを用いる場合は相対利得と呼び、単位に[dBd]を使用します。
dBiとdBdの間には次のような関係があります。 
 0 [dBd] = 2.14[dBi]
[dB/m] ケーブルなどの減衰量を表します。「0.033dB/m」と表示してあれば「1m当たりの減衰量が0.033dB」の意味で、100mでは3.3dBの減衰となります。
[ppm] ppmは1/100万(1×10-6)のことです。
[bps] ビットレートを表す単位で、一秒間に送ることが出来るビット数を表します。4800[bps]は1秒間に4800ビット(600バイト)のデータを送ることが出来ます。

電圧のEMFとPD表記について

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PD(Potential Difference)は電位差の略で、負荷インピーダンスで終端した状態の電圧である事を示します。高周波では負荷インピーダンスとして主に50Ω系を用います。
EMF(Electro Motive Force)起電力の略で、負荷が無い状態での信号源電圧(開放電圧)を表します。
EMFとPDには 電圧表記でEMF = 2×PD、dB表記でEMF = PD + 6dB の関係があります。


インピーダンス系が50Ωの場合の電力0dBmは、0dBm = 113dBμVEMF = 107dBμVPD = 223.8mVとなります。
7μVEMF = 3.5μVPD = 16.9dBμVEMF = 10.88dBμVPD = -96.1dBm
4.47μVEMF = 2.235μVPD = 13.0dBμVEMF = 6.98dBμVPD = -100.0dBm

本設計ガイドでは電圧表記に関し、EMFは明記しますが、何も付けない場合はPDでの電圧を表します。インピーダンスは50Ωです。 

インピーダンス系について

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単位を扱う時はインピーダンス系について考慮する必要があります。
低周波関係では600Ωインピーダンス系で、高周波では50オームインピーダンス系です。同じ0[dBm]でもその終端電圧は、

   600Ω系 終端電圧V  →   V=√(PR)=√(1mW×600)=0.775[V]
   50Ω系 終端電圧V   →   V=√(PR)=√(1mW×50)=0.224[V]
   75Ω系 終端電圧V   →   V=√(PR)=√(1mW×75)=0.274[V]

と違ってくるので注意します。0dBmは,0dBm ≒ 113dBμEMF≒ 107dBμPDとなる。

◆50オーム系の電圧[V] → 電力[dBm]換算

インピーダンスが50オーム系の場合の電圧 → 電力P50[dBm]換算は、P[W]、V[V]、R[Ω]とすると次のようになります。
式7 なので 式8 となり電圧値に対する50Ω負荷電力が求まり、これをdBm換算(1mW基準)すると、
となります。

※1[V]=13.01[dBm]、1[mV]=-46.98[dBm]、10[μV]=-86.98[dBm]、1[μV]=-106.98[dBm]


◆50オーム系の電力[dBm] → 電圧[V]換算

インピーダンス系がR=50オームの場合のデシベル表示電力に対応した端子電圧を求めるにはまず、換算する電力P50[dBm]に対する対応電力値P[W]を求めてから端子電圧を求めます。

式10
式11

よって、式12

※20[dBm]=2.23[V]、10[dBm]=0.707[V]、0[dBm]=224[mV]、-20[dBm]=22.4[mV]

◆50オーム系の電力[W] → 電圧[V]換算

インピーダンスが50オーム系の場合の電力 → 電圧V50[V]換算は、P[W]、V[V]、R[Ω]とすると次のようになります。
式13 なので簡単に求まります。

※1[W]=7.07[V]、100[mW]=2.23[V]、10[mW]=0.707[V]、1[mW]=224[mV]

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