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維新独りぼっち 東海の新人、指南役不在

孤立無援で選挙を戦う維新の新人候補。演説にも立ち止まる人はいなかった=名古屋市内で

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 衆院選終盤にきて、日本維新の会が選挙戦略を「全国展開」から「大阪重視」に転換した。「大阪から日本を変える」と全国へ進出したが、序盤で支持拡大に苦戦し、足元を固めることに必死となっている。維新本部は「大阪一斉活動Day(デー)」を設け、全国に飛んだ府議らに地元候補の応援を強制。東海地方などの新人候補は見放され、孤独な戦いを余儀なくされている。

 選挙中、唯一の日曜(九日)が一斉Dayとなり、全府議に午前八時から十二時間の活動報告書提出が義務付けられた。東海ブロック長の中野隆司府議は地元の柏原市で選挙カーを回し、大阪14区の候補者名を連呼した。

 公示後は愛知4区の新人候補に張り付く予定だったが、急きょ変更に。「愛知に行って面倒見てやりたかったんやけど今は時間がない。よそで戦ってるうちに、自分の城が包囲されてた」と話す。

 選挙戦序盤の各種世論調査結果に、維新内部は青ざめた。全国の獲得議席予想は目標を大幅に下回る四十前後。府内の十四選挙区でも勝利予想は四、五選挙区にとどまった。

 大阪市内で六日に開かれた選対会議。執行部は集まった地方議員を前に「大阪に力を入れる。各自、統一地方選で得た票数を下回ることがないように」とげきを飛ばした。

 「それは全国各地のブロック担当を撤退させるということか」。質問が飛ぶと、大阪府知事の松井一郎幹事長は「間違ってもそんなことは口にしないように」と厳しい口調でけん制。大阪以外の候補の切り捨て、と受け止められないよう、くぎを刺した形だ。

 地元での支持低迷を、選対本部の岩谷良平府議は「維新の『顔』が府外へ出かけ過ぎた」と分析する。各地から大阪市長の橋下徹代表代行の街頭演説を求める声が殺到。「これまで地方中心だった橋下代行の遊説日程を府内に戻す。全議員が本気になれば、投開票までにひっくり返せる」と自信を見せる。

 一斉Dayの翌日、中野府議が担当する愛知4区の新人候補は雪の中、「この名古屋でも維新の風を吹かせてください」と声をからした。人手不足のため、妊娠九カ月の妻も傍らでビラを配る。

 候補は言う。「選挙カーの回し方も分からないのに、公示後、本部は一度も来てくれなかった。こっちの情勢は本丸の大阪よりさらに厳しい」