米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和の実質的な強化に動いた。米経済を下支えするための政策努力を続けるというバーナンキ議長の判断を尊重したい。
次の焦点は来年1月からの急激な財政引き締めを回避できるかどうかだ。与党・民主党と野党・共和党は一刻も早く、事態収拾の具体策で合意すべきである。
FRBは失業率が現在の7.7%から6.5%程度に低下するまで、事実上のゼロ金利政策を継続することを決めた。「少なくとも2015年半ばまで」という時期の目安よりも、失業率の目安を示した方が金融政策の予想を立てやすくなると判断したようだ。
短期国債を売って長期国債を買う「ツイスト・オペ」の期限が年内に切れた後も、今と同じ月450億ドル(約3.7兆円)の長期国債を購入する。月400億ドルの住宅ローン担保証券(MBS)を購入する量的緩和の第3弾(QE3)を補強する措置となる。
リーマン・ショックから約4年を経て、米経済の回復基盤は少しずつ固まり始めている。家計の債務返済や住宅市場の調整が進み、緩やかながらも雇用情勢の改善が続いているのは心強い。
だが大型減税の失効や歳出の強制削減が重なる「財政の崖」への懸念が、家計や企業の心理を悪化させているのは見過ごせない。景気失速のリスクを和らげたいというFRBの意図は理解できる。
政策運営の透明性を高め、金融緩和の効果を引き出す工夫は、日本にとっても参考になる。衆院選後に誕生する新政権と日銀にも、学べる点があるのではないか。
もちろん金融緩和の副作用には細心の注意を払わなければならない。FRBが「向こう1~2年の物価上昇率の見通しが前年比2.5%を超えないようにする」という目安を設けたのは妥当だ。
今度は政府と議会の番である。急激な財政引き締めが始まれば、米国だけでなく世界の経済を危険にさらすことになる。「財政の崖の影響は大きすぎる。FRBがすべてを相殺することはできない」というバーナンキ議長の警告を深刻に受け止めてもらいたい。
与野党が富裕層向けの増税や社会保障費の削減などをめぐる対立を乗り越え、妥協点を探る必要がある。目先の財政引き締めを食い止めるだけでなく、中長期的な財政赤字削減の目標と手段を示すことも忘れてはならない。
FRB、財政引き締め、日銀
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