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横並び農業保護から脱却を

2012/12/14付
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 選挙になると、農村は票田に変わる。今回のように環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加が争点になれば、各党はなおさら農業団体の組織票を意識した保護支援策を競う。

 選挙のたびに繰り出される全国横並びの農業保護策が、結果として農業の競争力を弱めたことを反省し、産地ごとの適性に合わせて競争力を伸ばす農業政策に転換しなければならない。

 国内農業が抱える問題は農政が市場競争を避け、平等主義を変えないことにある。2010年のコメ農家一戸あたりの生産規模は7ヘクタール近い北海道に対し、東海や近畿、中国、四国地域は0.6~0.7ヘクタールと10倍の開きがある。専業農家の割合も地域で大きく違う。

 横並び保護の発想を抜け出せば、北海道などの大規模農家ではコスト競争力を追求し、規模拡大に限界のある産地ではより付加価値の高い作物への転換を推進する政策も考えられる。

 しかし、民主党が法制化を掲げるコメ農家に対する戸別所得補償制度は専業、兼業農家の区別もなく、全国ほぼ一律の生産調整への参加が支給条件だ。

 戸別所得補償制度に代わり、自民党が打ち出す「農地を農地として維持する支援策」も、ほぼすべての農家が対象で、横並び保護の発想から脱却できていない。

 両党とも農業支援策で食料自給率の向上を目指すという。一定量の食糧を国内でまかなうのは重要だが、小麦などの供給には限界がある。食糧の安定供給は海外産地とのつながりを強めるなど総合的に対処し、農業の競争力強化と矛盾しないことが大切だ。

 それぞれの農家が競争力を高め、魅力ある産業に変われば新たな担い手も増える。そのためには農地法などの規制緩和も要る。

 これまでの農業政策には消費者の視点も欠けている。農業への財政支出がどのような利点につながるのか、消費者に分かりやすい説明が求められる。

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