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北朝鮮がきのう、ミサイル発射を強行した。人工衛星の打ち上げと称しているが、あわせて核開発を進めている以上、核兵器の運搬手段を獲得する狙いであることは明らかだ。[記事全文]
大手半導体メーカー、ルネサスエレクトロニクスの再建策が決まった。政府系ファンドの産業革新機構が7割近い大株主となって傘下に収める。トヨタ自動車やパナソニックなど、ルネサ[記事全文]
北朝鮮がきのう、ミサイル発射を強行した。
人工衛星の打ち上げと称しているが、あわせて核開発を進めている以上、核兵器の運搬手段を獲得する狙いであることは明らかだ。
世界の平和と安定を損なう蛮行であり、強く抗議する。
金正日(キムジョンイル)総書記の死去1年にあわせた国威発揚と、金正恩(キムジョンウン)体制を固めるのが目的とされる。
同時に、米国を射程に収めるミサイルを保有し、交渉を有利に運ぶカードとする意図もあるのだろう。
この実用化に加え、核兵器が搭載可能なサイズに小型化されれば、国際社会全体にとって深刻な脅威になる。発射成功で、その脅威がさらに一歩、現実味を帯びてきたといえよう。
引き続き3度目の核実験が行われる事態は、なんとしても防がねばならない。
国連安全保障理事会は緊急会合で対応を協議する。北朝鮮が4月に打ち上げに失敗した際、安保理はさらなる発射をすれば「これに応じて行動をとる」とする議長声明を出した。
制裁強化が話し合われる見通しだが、それが実効性を伴うかどうかは中国の出方にかかっている。
中国はこれまで「制裁強化は逆効果」と唱えてきた。そうした甘い対応が、北朝鮮をつけあがらせたのではなかったか。
今回、中国は北朝鮮に発射の自制を促したが、もっと強く働きかけることもできたはずだ。放置すれば、「後ろ盾」とみられている中国への国際社会の不信を深め、自身の国益を損なうと認識すべきだ。
かぎを握るのは、射程に収められようとしている米国と中国の話し合いだ。日本も関係国と緊密に連携する必要がある。国際社会が足並みをそろえて初めて、北朝鮮の暴走を防ぐことが可能になる。
北朝鮮は8月、核やミサイルの開発に使えるアルミニウム合金をミャンマーに輸出しようとし、米国の要請で日本政府が押収した。大量破壊兵器の拡散を防ぐこうした措置にも協力して取り組まなければならない。
今回の発射に先立ち、北朝鮮がミサイルを解体したという情報が流れた。直後の発射は、上空から監視し、察知することの難しさをうかがわせる。
日本国内では、ミサイル防衛強化など軍事的な対抗措置を求める声が強まるだろう。だが、いま必要なのは各国と協力して粘り強い外交努力を尽くすことであり、それが制裁の実効性も高める。冷静な議論を望む。
大手半導体メーカー、ルネサスエレクトロニクスの再建策が決まった。
政府系ファンドの産業革新機構が7割近い大株主となって傘下に収める。トヨタ自動車やパナソニックなど、ルネサスの顧客8社も合わせて6%近い株主となる。出資総額は1500億円に達する。
ルネサスは、自動車や家電に欠かせないマイコンなどを製造している。東日本大震災で茨城県内の主力工場が被災した際は納入先の生産ラインにも影響が及び、各社が復旧要員を送り込んだ。日本の製造業にとって重要な企業であるのは事実だ。
だからといって、官民あげての「日の丸連合」による支援が妥当なのか。
ルネサスは震災前から赤字が続いていた。根本には、技術力を収益に結びつけられない経営力の弱さがある。
ルネサスの母体は、日立製作所と三菱電機、NECである。3社がそのまま大株主となって経営陣を送り込んできた結果、リーダーシップが発揮されず、工場の統廃合をはじめとするリストラが遅れた。
「下請け体質」も問題とされてきた。納入先の求めに応じて高品質の製品を開発・生産してきたが、世界シェアが約3割とトップのマイコンでも、十分な利益をあげていない。顧客企業の力が強く、安値での販売に甘んじてきたためだ。
国が大株主になって、地域の雇用に影響するリストラにきちんと向き合えるのか。顧客企業が株主に加わることで、製品の値上げが実現できるのか。再建策には疑問がつきない。
ルネサスのスポンサー探しでは、米国の投資ファンドが有力だった。ところが海外への技術流出を心配する声が強まり、革新機構を軸とする案が急速に固まった経緯がある。
旧来の株主や顧客とのしがらみを断ち、ルネサスの弱点である海外への販売を増やすためにも、「外の目」によるかじ取りが必要だったのではないか。そんな声が今もくすぶる。
日立とNEC、三菱の半導体メモリー部門を集約したエルピーダメモリが経営難に陥った際も、「大切な技術を守る」として、日本政策投資銀行を通じて300億円の公的資金が投じられた。
しかし、韓国サムスン電子などとの競争に敗れて破綻(はたん)し、米国メーカーのもとで再建を目指すことになった。残されたのは国民負担である。
教訓はどこまで省みられたのか。同じ失敗は許されない。