輸入停止続くイラン産LPガス、企業は非常態勢に

国内価格の上昇圧力が高まる見通し

 液化天然ガス(LPG)の輸入を手掛けるE1とSKガスが非常態勢に突入した。欧州連合(EU)による制裁で、イランからのLPG輸入が今年10月に途絶えて以降、これといった供給元が見つからないからだ。イラン産LPGは他国に比べて割安なため、今後も輸入が再開されない場合、韓国国内でのLPG価格の上昇圧力が高まるのは避けられない。

 業界関係者が11日に明らかにしたところによると、イラン産LPGの輸入が途絶えて以降、各企業とも現物を確保するために、割高なサウジアラビア産やUAE(アラブ首長国連邦)産、カタール産の輸入を増やしているという。

 イラン産LPGの輸入は、今年10月中旬にEUによるイラン制裁がLPGの分野にまで拡大したことを受け、今なお途絶えたままだ。欧州の保険会社がLPG輸送船への保険適用を中断したため、韓国企業は船舶を調達できないのだ。

 今のところこれといった解決策も見当たらない。今年7月にEUがイラン産原油を運搬するタンカーに対する船舶保険の適用を中断した際には、イラン政府が自国の船舶利用を保障したため、輸入は再開された。しかしLPGの場合は事情が異なる。業界関係者は「イラン政府はLPG輸送船を保有していないため、原油の時と同じ解決策は期待できない」と語る。

 今年10月までの時点で、韓国の輸入LPGに占めるイラン産の割合は30%(1710万バレル)で最も多かった。今年に入ってイラン産は他国産に比べて1バレル当たり10ドル(約830円)ほど下がったため、韓国国内におけるシェアは昨年の4位から今年は一気に上昇したのだ。そのため国際価格が上昇した時には、イラン産LPGは韓国企業にとって国内価格の上昇を抑制できる切り札的な存在だった。業界関係者は「イラン産の輸入がストップすれば、国内価格も上昇する可能性が高い」と述べた。

 今年3月、LPGの一種であるプロパンの1トン当たりの国際相場は1230ドル(約10万1500円)、ブタンは1180ドル(約9万7400円)といずれも過去最高値を記録。その後も多少の変動はあるものの、今なお高止まりは続いている。

チョ・ジェヒ記者
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