日本人観光客に売春あっせん、「明洞山岳会」再び暗躍

今年4月に約30人摘発するも、実刑判決を受けた者はゼロ
法の網をかいくぐり、今年9月に再登場

 今月3日午後7時30分ごろ、ソウル市中区明洞のソウル・ロイヤル・ホテル前の交差点から路地を入った所で、膝丈のジャンパーを着た男性4人が集まり「あっちの路地はお前が、こっちは俺がやる」などといった会話をしていた。

 日本人男性6人が同ホテルの前を通ると、黒いジャンパー姿の男性が近づいた。この男性は5秒足らずの短い間に何かを伝えたが、結局首を振りながら元の位置に戻った。この男性が声を掛けた相手は、韓国に出張に来た日本人たちだった。

 日本人の一行の中にいた男性(33)は「あの男が私たちに近づき『アガシ(若い女性)を紹介してあげる』と持ち掛けてきたが『興味ない』と答えた」と話した。午後8時20分ごろ、雪が激しくなると、街角をうろついていた客引きたちは、路地に止めていた黒塗りのワゴン車に乗り込んだ。ワゴン車の窓は外から中を見ることができないほどコーティングされていた。

 今年4月、日本人観光客たちを売春業者に紹介し、業者からあっせん料を受け取るという手口で、計25億ウォン(約1億9100万円)相当の利益を得たとして警察に摘発された「明洞山岳会」が再び姿を現した。同会は以前、約30人のメンバーで明洞一帯を掌握し、4-5人で一組になり、多くの日本人観光客たちが行き来する地点を独占して、売春業者をあっせんした疑いが持たれていた。今春、警察に摘発された当時、メディアに大々的に報じられ、大きな関心を集めた同会が、冬になると再び元の位置に戻り、堂々と活動しているというわけだ。

 「売春あっせんなどの行為の処罰に関する法律」は、売春をあっせんするためにグループを結成したり、グループに加入したりした者のうち、トップは死刑か無期または10年以上の懲役刑に処し、幹部は無期または7年以上の懲役刑、それ以外のメンバーは2年以上の懲役刑に処すると定めている。

 ところが今春、5人が逮捕され、27人が書類送検された明洞山岳会のメンバーのうち、実刑判決を受けた者は一人もいなかった。警察の関係者は「明洞山岳会のメンバーの多くは、300万-400万ウォン(約23万-30万円)の罰金を払い釈放された。一部は嫌疑不十分のため起訴猶予となった」と語った。

 明洞山岳会のメンバーに対する処罰が不十分な形で終わったのは、同会を売春あっせん団体と見た警察や検察の判断を、裁判所が受け入れなかったためだ。裁判所は同会を売春あっせん団体と認めるのではなく、メンバー各自が売春をあっせんした容疑を適用し、罰金刑を言い渡した。同会を売春あっせん団体として処罰するためには、組織のトップが存在しなければならず、また「行動綱領」のような組織を統率する体系が明文化されているといった条件に合致しなければならないが、警察は捜査の過程で、条件を満たすことができなかったという。

 警察は、法の網をかいくぐった明洞山岳会が今年9月以降に明洞に戻り、再び売春をあっせんしていることを把握しているが、検挙するのは容易ではない状況だ。

 同会のメンバーを検挙するためには売買春の現場を抑えなければならないが、同会の手口は以前に比べさらに巧妙になっている。警察の関係者は「最近はショッピングモールなどの駐車場に車を止め、客が現れると、分かりにくい場所で会って移動させており、追跡が容易ではない」と語った。

ユン・ヒョンジュン記者
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