【ソウル/東京】北朝鮮は12日午前9時49分ごろ、南方向に向け、多段式ロケットを発射した。同形式のロケット打ち上げは今年2回目で通算では5回目となり、北朝鮮による長年の長距離ミサイル開発が加速していることが示された。ロケットは予定されていたコースをほぼ飛翔(ひしょう)した模様で、長距離ミサイルの発射実験の中では最も成功したものとなった。
前回4月の打ち上げは発射80秒後に爆発して失敗している。
ロケットは北朝鮮北西部の発射場から打ち上げられ、南方に飛翔経路をとり、黄海と東シナ海上空を通り、フィリピン方向に向かった。 日本政府によると、北朝鮮が「人工衛星」と称するロケットは沖縄県上空を通過した模様で10時05分ごろ、フィリピンの東300キロメートルに落下したとみられる。日本政府はロケットに対する破壊措置は実施しなかった。
北朝鮮は発射後、短い声明を発表し、人工衛星投入に成功したとしているが、国際社会は長距離弾道ミサイルの発射実験を隠ぺいするものとみている。同国はこれまでに4回、「人工衛星」の打ち上げをしているが、いずれも衛星の放出に失敗している。米国は事実上ミサイルだとするものが「軌道上に物体を投入した兆候がある」ことを確認した。米政府高官も11日遅く、北朝鮮が打ち上げに成功し、衛星である可能性のあるものを軌道上に投入したようだと述べた。
アジア時間の金融市場は、今回の北朝鮮の発射に対してほとんど何らの初期反応を示さなかった。
北朝鮮が国際海洋機関(IMO)に提出した書類によると、3段式ロケットの1段目は発射約2分後に韓国西方の海域に落下することになっていた。ロケット先端部の一部は韓国済州島西方沖に落下する見込みだった。
12日の打ち上げでロケットが長距離飛翔(ひしょう)したことで、北朝鮮のミサイル開発計画が一歩前進し、北朝鮮製ミサイルの潜在的な買い手は歓迎する可能性がある。軍事専門家によると、過去に北朝鮮からミサイル技術を買ったことがあるイランは、今回の打ち上げを視察するため北朝鮮に代表を派遣したとみられる。
北朝鮮は十数個もの核兵器を製造できる十分な核分裂物質を保有しているとみられている。今回の打ち上げ成功により、北朝鮮は日韓など米国のアジアの同盟国ばかりか、米国自体にとっても脅威となる。
元米軍軍事情報アナリストであるアンジェロ州立大学のブルース・ベクトル教授は「(兵器)拡散の脅威が一段と差し迫ったものになると思う」と指摘。「今回の打ち上げが成功であれば、イランが北朝鮮からロケットを買い、衛星発射を隠れ蓑にするなど独力で様々な形で打ち上げる可能性がある」と述べた。
日本政府は発射を探知すると、関係省庁や地方自治体に警報を発し練ってあったゲームプランを実行。藤村修官房長官は発射から30分後に記者会見を行った。前回の4月の発射の際には確認まで1時間近くかかったため、対応のまずさを指摘されていた。
同官房長官は「わが国を含む地域の平和と安定を損なう安全保障上の重大な挑発行為であると言わざるを得ない」とした上で「安保理決議に違反しており容認できるものではなく、北朝鮮に対して厳重に抗議し遺憾の意を表明する」と述べた。
森本敏防衛相は記者会見で、北朝鮮のロケット打ち上げ後、何らかの物体が軌道上を回っているかどうか確認できないが、分析のため米国と連携して行くとの考えを示した。
今回のロケット打ち上げに際し、北朝鮮は、同国の科学者が4月の打ち上げ失敗の原因を分析したと発表していた。アナリストらによると、北朝鮮は、最高指導者・金正恩氏の祖父にあたる同国家体制の創始者である故金日成元主席の生誕100年に当たる今年の末までに打ち上げを成功させたいとみていた。
今回の打ち上げは当初12月10-22日の間に予定されていたが、29日まで延長されていた。このため、打ち上げは早くとも来週以降と予想されていた。