
西野嘉之
慶応義塾大学大学院博士課程理工学研究科修了。07年に企業価値検索サービス『Ullet(ユーレット)』を開発。現在は新聞・雑誌などの各媒体で執筆活動を行うなど、多方面で活躍中。

ユーレットとは?
上場企業約4000社の決算書(財務諸表)や関連ニュース、大株主などの情報を、ワンクリックで表示。各企業の財務データをビジュアル的に把握できる、無料のサービスだ。 |
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山中教授のノーベル賞受賞に思う
ノーベル医学生理学賞を受賞する山中伸弥京都大教授は、7日に行われた記念講演でジョークを連発して、ストックホルム・カロリンスカ研究所の会場は笑いの渦に包まれたという記事が出ていた。さらに、「いろんなことを思い出して胸が熱くなりました」とも語った。ここまで来るのにどれだけの苦労をされたのだろうか?
民主党政権下での仕分けでは、研究開発費が削減されることを受け、過去のノーベル賞の受賞者が反対の声を挙げた。基礎研究というのは本当に評価が難しい。企業では、儲かったお金を次の製品開発に、ある一定の割合を充てるだろう。しかし大学においては、大学自身が商品を製造販売している訳ではないので、企業からの委託研究費や国からの科学研究費に頼らざるを得ない。研究にも様々な分野があり、紙と鉛筆だけあれば良い研究もあれば、大きな機械や、高価な実証実験を何回も行う必要があるものもある。iPS細胞の研究は高度な技術を理解し研究するために、高価な装置を使って実験を繰り返し、多くの失敗の上に成り立つ。山中教授も実験に成功し、尚かつノーベル賞を受賞する事ができたから評価されているが、もし実験に失敗したら、ノーベル賞を受賞していなかったら、これまでの苦労は評価されたのだろうか?
今、日本においては研究する環境が決して恵まれている訳ではない。しかしそれでも山中教授は日本で研究を続け、結果を出した。私利私欲ではなく、本当に強い信念を持ってやらなければできないだろう。最新号のメルマガでは、企業として新しい医療技術に挑戦する新興市場企業の分析をしている。
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