シリア:反体制派、アルカイダ系排除狙う 武器流出など防止へ
毎日新聞 2012年12月09日 東京朝刊
【エルサレム花岡洋二】シリア反体制派の各武装組織は7日、統合司令部を結成した。戦略の一体的構築が狙いで、政府軍との停戦を拒否するなど強硬派で国際テロ組織アルカイダ系とされる「ヌスラ戦線」を排除する狙いもある。ただ、戦闘力があるヌスラ戦線には一定の支持があり、反体制派の分断を招くおそれもある。
ロイター通信によると、米国務省は反体制派有志国会合が開かれる12日にもヌスラ戦線をテロ組織に指定する。ヌスラ戦線は停戦や統合司令部参加を拒否し、「イスラム国家」を造ると宣言している。米政府はアルカイダとのつながりを指摘しており、反体制派から一線を画し、別組織の合流や武器の流出を防ぐ狙いがある。
ただし、米紙ワシントン・ポスト(電子版)によると、ヌスラ戦線はリビアやイラクなどの戦闘経験者が含まれ、指揮系統が整い資金源もあり、戦果も上げているという。「戦闘員6000〜1万人は全体の7〜9%を占め、年初の1%から急増した」との報告もあり、反体制派でも評価する動きがある。
反体制派は、アサド政権による少数派のイスラム教アラウィ派を中心とした世俗的な支配体制を覆そうとしている。主力はスンニ派のムスリム同胞団系などイスラム主義者で、ヌスラ戦線への拒否感は世俗派ほど強くはない。ヌスラ戦線の孤立化政策は反体制派内の溝を深めることにもなりかねないとの懸念もある。