【佐藤亜季】近畿大学が世界で初めて成功させた完全養殖マグロを使った専門料理店が来年4月、大阪市内に開業する。近大とサントリーホールディングスが3日、発表した。天然マグロの減少が問題となる中、赤身や中トロ、カマなどあらゆる部位を使って養殖マグロのおいしさを知ってもらう考え。
JR大阪駅北側にオープンする「グランフロント大阪」の中核施設「ナレッジキャピタル(知的創造拠点)」の6階に入る。
気軽に入れるカジュアルゾーンと個室ゾーンで計100席。昼はマグロ丼などを用意。夜は刺し身やマグロのメンチカツなど、4千〜5千円で楽しんでもらえるメニューにする。
カウンターにタブレット端末を置き、養殖マグロの孵化(ふか)から出荷までの過程が分かる工夫もこらす。
「近大マグロ」は、近大が卵から成魚まで一貫して養殖したクロマグロ(本マグロ)で、2002年に世界で初めて成功した。味について、サントリー側は「天然マグロに引けを取らない」とPR。「赤身が天然マグロのトロに近い」という声もあるという。
研究所のある和歌山県の地域おこしにもつなげるため、柑橘類(かんきつるい)のジャバラや梅など、県の特産品と組み合わせたメニューもつくる。近大は「赤字にならないで多くの人に来てもらう自信はある」(首脳)と話す。